レーシックは多くの人に人気のある視力矯正手術ですが、すべての人が受けられるわけではありません。検査の結果、「適応外」と診断されるケースもあります。この記事では、レーシックを受けられない主な理由と、その場合に検討できるICLなどの代替手段をわかりやすく紹介します。
レーシックの「非適応」とは?

レーシックは多くの人が受けられる視力矯正手術ですが、すべての人に適しているわけではありません。手術の安全性や効果を確保するため、検査の結果によっては「非適応」と診断されることがあります。ここでは、非適応となる割合や基本条件をわかりやすく紹介します。
非適応となる人の割合
レーシックやSMILE(スマイル)を希望して来院した人のうち、約15〜50%が適応外と判断されると言われています。ただし、LASIK単独では適応外でも、ICLやPRKなど別の術式で矯正可能なケースもあるため、あくまで「LASIK/SMILEに限った非適応の割合」です。
手術を受けるための基本条件
- 視力が1年以上安定していること(度数変化±0.5D以内)
- 角膜が健康で十分な厚みがあること
- 重いドライアイや眼の病気がないこと
- 妊娠・授乳中ではないこと
★EGENでは…
当院では、18〜35歳の方を原則的な適応対象とし、それ以外の方には個別の生活環境やニーズを十分に踏まえて術式を提案します。また近視度数が適応範囲にあっても角膜厚が十分でない方は非適応となります。
度数や乱視が原因で受けられないケース

レーシックやSMILEは角膜を削って視力を調整するため、度数が強すぎると安全に行えないことがあります。
強度近視の場合
近視が−10Dを超える「強度近視」では、削る量が多く角膜が薄くなりすぎるおそれがあります。
その結果、術後に角膜の変形(外れ値的な屈折変化)や異常光視現象のリスクが高まります。また長期的に近視への戻りが多いことにも注意が必要です。
LASIKは最大−10D、SMILEは最大−10Dとされていますが、安全に手術できるかどうかは「角膜の厚み」や「削除予定の位置」によって異なります。そのため、同じ度数でも手術が可能かどうかは一人ひとり異なります。
強い乱視の場合
SMILEでは乱視矯正の上限が約3D、レーシックでは5Dまでです。これを超える場合は、ICLなど別の手術のほうが安全です。
病気や目の状態による非適応

眼の状態によってレーシックができないケースもあります。角膜やドライアイなど、健康状態のチェックが欠かせません。
角膜が薄い人
角膜の厚みが足りないと、削ることで変形が起きやすくなります。このため、角膜の厚みが基準を下回る場合は手術を避けます。
円錐角膜や角膜の形状異常
角膜の形が不規則な「円錐角膜」の人はレーシック・SMILEとも禁忌です。術後に視力低下が起こるリスクがあります。
重度のドライアイ
ドライアイがひどいと、術後に痛みや異物感が強く出ます。まずドライアイの治療を優先します。
老眼が進んでいる人
老眼が進行していると、遠くにピントを合わせることで近くが見えづらくなるため、手術後に不便を感じる人もいます。
40代以降の方は、見たい距離の優先順位を整理してから術式を選ぶ必要があります。
精神的ストレスや神経性の痛みがある人
うつや強い不安、線維筋痛症の既往がある方は「神経障害性角膜痛(NCP)」のリスクがあります。痛みの感覚が敏感なため、慎重な判断が必要です。
当院では、NCPのリスクがある方には事前にカウンセリングやスクリーニングを実施し、必要に応じて手術を回避または他の治療を優先しています。
年齢や体質・健康状態による非適応

年齢や全身の健康状態によっても、レーシックが受けられないことがあります。
年齢制限
18歳未満では成長とともに視力が変化するため手術は行いません。
一方、高齢者の場合、手術は可能ですが、老眼の進行に対してレーシック・SMILEを選ぶことは原則推奨されません。
40歳以降で白内障の兆候がある場合には白内障手術も候補になりますが、白内障がない状態で“老眼を治す目的のみ”で水晶体を摘出する手術は、当院では行っていません。
老視対策は、ピント距離の優先順位を明確にしたうえで、必要に応じて老眼鏡や遠近両用眼鏡を併用する方法が基本です。
妊娠・授乳中の女性
ホルモンの影響で角膜の厚みや視力が変動するため、妊娠・授乳中は手術を延期します。授乳終了後に改めて適応検査を行うことが推奨されます。
糖尿病・自己免疫疾患がある人
これらの病気があると、傷の治りが遅れたり感染リスクが高まるため、主治医と相談してから判断します。
レーシックが受けられない場合の代替手段

非適応と診断されても、他の視力矯正方法で改善できるケースがあります。その代表が「ICL(眼内コンタクトレンズ)」です。
ICLとは?
角膜を削らず、眼の中に小さなレンズを入れる方法です。強度近視や角膜が薄い人にも対応できます。
ICLのメリット・デメリット
メリット
- 強い近視にも対応(−18D程度まで)
- レンズを取り外すことができる
デメリット
- 白内障や眼圧上昇のリスク
- 角膜内皮細胞の減少に注意が必要
レーシックが受けられなかった人がICLで快適な視力を得たケースは多く、満足度は非常に高いとされています。
後悔しないために大切なこと

手術後に「やらなきゃよかった」と感じる人の多くは、十分な説明を受けていなかったケースが多いです。
強度近視、老眼、ドライアイなど、自分の状態を正確に理解し、適した方法を選ぶことが大切です。
信頼できるクリニックで丁寧な検査とカウンセリングを受け、納得したうえで選択するようにしましょう。
レーシックは非常に完成された技術ですが、「誰にでも合う手術」ではありません。
角膜の厚みや目の健康状態、生活スタイルを踏まえ、適した術式を選ぶことが大切です。非適応と診断されても、ICLなど別の方法で安全に裸眼生活を目指せる可能性があります。
信頼できるクリニックで詳しい検査を受け、自分に合った方法を選ぶことが、後悔しない第一歩です。





























