【保存版】「強度近視」でもレーシック・SMILEはできる?専門医が教える「3つの適応ゾーン」と「安全の絶対ライン(PTA)」

強度近視でもレーシックは可能?角膜の厚み(RSB300μm以上)やPTA40%未満など、安全に受けるための条件をやさしく解説。レーシックとICLの違いも詳しく紹介します。
【保存版】「強度近視」でもレーシック・SMILEはできる?専門医が教える「3つの適応ゾーン」と「安全の絶対ライン(PTA)」
【保存版】「強度近視」でもレーシック・SMILEはできる?専門医が教える「3つの適応ゾーン」と「安全の絶対ライン(PTA)」

「視力が0.01くらいしかないけれど、レーシックはできる?」 「強度の近視だと断られることがあるって本当?」「ICLってどんな目には安心なの?」

近視が強い方ほど、「手術で裸眼になりたい」という願いは切実です。しかし、近視の度数や角膜の厚みによっては、無理に角膜を削る手術を行うと、将来的なリスクが高まることがあります。

ネット上には様々な情報がありますが、私たち専門医が判断する基準は明確です。 それは、「度数(削る量)」「角膜の強度(安全性)」のバランスです。

この記事では、患者様がご自身の眼の状態を客観的に判断できるよう、「3つの適応ゾーン」と、私たち医師が裏側で見ている「安全の絶対ライン(数値基準)」について解説します。

近視と強度近視とは

近視とは、遠くのものがぼやけて見える状態のことです。その中でも特に度数が強い「強度近視」は、視力低下だけでなく、将来的な目の病気のリスクも高くなるため注意が必要です。

近視の基本メカニズム

近視は、目の奥行き(眼軸)が長くなり、光が網膜の手前で焦点を結ぶことで起こります。
この状態では、遠くのものがぼやけて見え、眼鏡やコンタクトレンズで矯正する必要があります。
近視の進行は、遺伝や生活習慣、長時間の近距離作業などが関係しています。

強度近視の定義

一般的に、近視度数が−6.00D以上、または眼軸長が26mm以上の場合に「強度近視」と呼ばれます。
この状態では、視力の問題だけでなく、網膜剥離や黄斑変性などの合併症が起こりやすくなるため、定期的な眼科検診が大切です。

まず理解すべき前提:なぜ「レーシックとSMILE」はセットなのか?

本題に入る前に、重要なポイントをご説明します。この記事では、適応を考える上で「レーシック」と「SMILE(スマイル)」を同じ「角膜屈折矯正手術」というカテゴリーとして扱います。

術式に違いはあれど、「角膜を削る(組織を取り除く)ことで、カーブを変えて視力を治す」という根本原理は同じだからです。

  • ICL: 眼の中にレンズを入れる(足し算の手術)
  • レーシック/SMILE: 角膜を削って形状を変える(引き算の手術)

この「引き算」ができる限界値は、どちらの術式でも「角膜の厚み」に依存します。したがって、まずは「角膜を削れるかどうか」で大きく判断を分ける必要があるのです。

近視度数からみるレーシック・SMILEの適応判断

私たちは、患者様の近視度数(D)に基づき、以下の3つのゾーンで術式を検討することを推奨しています。

【Zone A】軽度近視(-3.0D 未満)

推奨:レーシック または SMILE

  • 理由: 角膜を削る量が極めて少なくて済みます。角膜の強度への影響がほとんどないため、あえて高額なICLを選択する必要性は低くなります。コストパフォーマンスの観点からも、角膜手術が圧倒的に推奨されます。

【Zone B】中等度〜強度近視の入り口(-3.0D ~ -6.0D)

推奨:レーシック/SMILE が第一選択(ただし角膜厚による)

  • 理由: コンタクトレンズが手放せない層です。多くの日本人において、まだ安全域(セーフティーマージン)を確保して角膜を削れる範囲です。
  • 注意点: ここが最も慎重な判断を要するゾーンです。後述する「安全基準値」ギリギリの場合は、角膜強度が保てるSMILE、あるいはICLへの切り替えを検討します。

【Zone C】強度近視(-6.0D 以上)

推奨:ICL(眼内コンタクトレンズ)

  • 理由: 眼鏡のレンズがかなり分厚くなるレベルです。このゾーンで角膜手術を行うと、削る量が多すぎて角膜が薄くなりすぎ、眼の強度が下がるリスクが跳ね上がります。
  • 結論: 角膜を削らず、鮮明な見え方が得られるICLが圧倒的な第一選択となります。

医師がチェックしている「安全の絶対ライン」

「角膜が厚ければ大丈夫」「度数が弱ければ大丈夫」と単純には言えません。

私たちは「PTA(角膜組織変化率)」「RSB(残存角膜厚)」という数値を計算し、医学的な安全性を判定しています。

以下は、当院も採用している世界的な安全基準のまとめです。

【基準値まとめ】近視戻りと安全性の3段階

判定ゾーンPTA (組織変化率)<small>※低いほど安全</small>RSB (残存角膜厚)<small>※厚いほど安全</small>臨床判断と推奨
① 理想・高安定
<small>(Egen推奨ライン)</small>
35% 未満350µm 以上自信を持って推奨。
近視戻りのリスクは極小で、長期的に安定した視力が期待できます。
② 注意ゾーン
<small>(条件付き適応)</small>
35% ~ 40%280µm ~ 350µm施術可能だが慎重に判断。
安全圏ではありますが、将来的な「近視の戻り」の可能性を説明します。
※この領域では角膜強度に有利なSMILEを推奨することが多いです。
③ 危険・禁忌
<small>(ICLへ誘導)</small>
40% 以上280µm 未満角膜手術は不可。
「角膜拡張症(エクタジア)」という変形トラブルのリスクが大。
迷わずICLを選択すべきです。

PTA(Percent Tissue Altered):手術で干渉する部分(削る量+フラップ/キャップ)が、角膜全体の厚みの何%を占めるかという数値。40%を超えると危険とされています。

【重要】「角膜が厚い=安全」という誤解に注意

「角膜の厚みがあるから大丈夫ですよ」と言われたことはありませんか? 実は、「元の角膜が厚いかどうか」だけでは、安全性の半分しか語れていません。

どれだけ角膜が厚い人でも、近視が強く、たくさん削る必要があれば、残る角膜(RSB)は薄くなり、危険水域(PTA 40%以上)に達してしまうからです。

「貯金(角膜厚)がたくさんあっても、買い物(削る量)が高すぎれば、破産(強度不足)する」

と考えてみてください。 重要なのは「今どれくらいあるか」ではなく、「手術をして、最終的にどれくらい残せるか」です。当院では、この最終的な「残存量」を厳密にシミュレーションし、無理な手術は決してお勧めしません。

「②注意ゾーン」におけるSMILEの優位性

上記の表で「②注意ゾーン」に入った場合、同じ角膜手術でもレーシックよりSMILEの方が有利な場合があります。

  • レーシック: フタ(フラップ)を大きく作るため、角膜表面の強度が低下しやすい(PTAが上がりやすい)。
  • SMILE: フラップを作らず、小さな切開創から組織を抜くため、角膜表面の「一番硬い層」を温存できる。

つまり、「削る量は同じでも、眼の丈夫さを残せる」のがSMILEの特徴です。強度近視寄り(-5Dや-6D付近)の方は、SMILEの方が適応範囲が広くなる傾向にあります。

強度近視でレーシックを受けるリスク

強度近視の人がレーシックを受ける場合、一般的な近視の人よりもリスクが高くなることがあります。手術前にしっかり理解しておきましょう。

視力が戻る「近視戻り」

強い近視の方は、手術後に時間が経つと少しずつ視力が戻ることがあります。
これは「回帰」と呼ばれる現象で、矯正量が大きいほど起こりやすくなります。
術後に定期検診を受け、必要に応じて再矯正や生活習慣の改善を行うことが大切です。

角膜や目のトラブルの可能性

角膜を削りすぎると、時間が経ってから「角膜拡張症(エクタジア)」を引き起こすことがあります。
また、ドライアイや夜間の見え方の変化(光がにじむ「ハロー」やまぶしさ「グレア」)が起こることもあります。
これらの症状は多くの場合一時的ですが、体質や目の状態によっては長く続くこともあります。

最強度近視の正解は「ICL」

レーシックができない場合でも、視力を改善する方法はあります。代表的なのが、角膜を削らずに行う「ICL(眼内コンタクトレンズ)」です。

ICLの特徴

ICLは、特殊なレンズを目の中に入れて視力を矯正する方法です。
角膜を削らないため、強度近視の方や角膜が薄い方にも適しています。
また、将来視力が変わった場合には、レンズの交換や取り外しも可能です。

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ICL(眼内コンタクトレンズ)とは?



ICL(眼内コンタクトレンズ)とは?

メリットと注意点

メリット

  • 高度近視(−10D以上)にも対応可能
  • 角膜の形を変えないので、構造的に安定
  • 手術後の回復が比較的早い

注意点

  • レンズの位置(Vault)が適正かを定期的に確認する必要がある
  • 光の輪(ハロー)や角膜内皮細胞の減少など、長期的な管理が必要

ICLは、最強度近視の人にとって安全性と安定性を両立した選択肢です。

手術以外の視力回復法はある?

「目の体操」や「トレーニング」で視力が回復すると言われることがありますが、医学的に効果が証明された方法はありません。成人の場合、眼軸(眼の奥行き)が伸びきっており、視力回復は現実的ではありません。

現実的な視力維持のポイント

大人の近視は、目の構造(眼軸)が伸びきっているため、自然に治ることはほとんどありません。
強度近視の人が視力を守るためには、次の3つを意識しましょう。

  1. 正確な検査と適応評価を受けること
  2. 安全基準を守ること
  3. 目の乾燥や生活環境を整え、再発を防ぐこと

よくある質問

Q1. 強度近視で乱視もありますが、レーシックはできますか?

角膜の厚みや安全域を満たす場合に限り可能です。条件を満たさなければ、ICLがより安全です。

Q2. レーシック後に視力が落ちたら再手術できますか?

角膜に十分な厚みが残っていれば可能ですが、初回から安全設計を行うことが大切です。

Q3. レーシックとICL、どちらが安全ですか?

角膜の余力がある場合はレーシックも選択肢になりますが、安全域が狭い方はICLが理にかなっています。

Q4. 角膜厚は絶対に500μm必要ですか?

最低限の基準は500μmですが、多くの専門医は安全のため520μm以上を推奨しています。

まとめ

強度近視の人にとって、レーシックを受けるかどうかの判断はとても重要です。安全ラインを超えた手術は、将来的なトラブルを招く可能性があります。

強度近視では、とくに安全の目安を守ることが重要です。
この条件を満たせない場合は、角膜を削らないICLを検討しましょう。
大切なのは、「できるか」よりも「してよいか」を考え、自分の目に合った方法を選ぶことです。

参考文献
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INDEX

強度近視でもレーシックは可能?角膜の厚み(RSB300μm以上)やPTA40%未満など、安全に受けるための条件をやさしく解説。レーシックとICLの違いも詳しく紹介します。

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