レーシック手術は安全性と実績が高い視力回復の方法として広く知られています。しかし、手術後に「目つきが変わった」と感じる人も少なくありません。その多くは一時的なドライアイや光への敏感さ、表情の変化などが原因で、医学的な異常ではないことがほとんどです。この記事では、実際の体験談や医学的知見をもとに、レーシック後の目つきの変化について解説します。
1.レーシックで目つきが変わるって本当?

一部の方に「目つきが変わった」と感じるケースはありますが、その多くは一時的な変化であり、時間とともに改善します。
レーシック手術の基本的な仕組み
レーシックとは、角膜(黒目の前面)をレーザーで削ることによって屈折異常(近視・遠視・乱視)を矯正する視力回復手術です。
手術の流れ
- 角膜の表面にフラップ(ふたのようなもの)を作成
- フラップをめくり、角膜の中間層をエキシマレーザーで削って形を整える
- フラップを元に戻して自然に接着
この手術によって角膜のカーブが変化し、網膜にピントが合うように調整されるため、裸眼でもクリアに見えるようになります。
なお、手術時間は両眼で10〜20分ほど。視力は当日または翌日には大きく回復することが多く、メガネやコンタクトが不要になる方がほとんどです。
「目の形や大きさを変える手術ではない」
あくまで角膜の屈折率を変える手術であり、眼球のサイズや形、まぶたの構造自体には触れません。したがって「目の見た目(目つき)が変わる」というのは、直接的な手術の影響ではなく、視力や感覚の変化によって間接的に生じる変化と考えられます。
実際に目つきが変わったと感じる人の声・体験談
手術の結果に満足している方が大多数ですが、術後の変化として「目つきが変わった気がする」という声も一定数あります。以下は、実際の体験談から抜粋・要約した例です。
①「視力が回復しても、なんとなくキツい目つきに」
「以前はメガネをかけていたので、目の印象が柔らかかったと言われていました。手術後、裸眼になったら“ちょっと目つきキツくなった?”と友人に言われて、自分でも鏡を見て気になり始めました。」
→メガネを外したことで目元が強調され、印象が変わった可能性が考えられます。
②「まぶしさで目を細める癖がついた」
「手術直後は明るい光がすごく眩しくて、太陽の下ではつい目を細めてしまうように。表情がこわばって、写真写りも変わった感じがしました。」
→ これは 光過敏(まぶしさ) が術後一時的に起こる典型例で、目を細める無意識のクセによって目つきが変わったように見えるパターンです。
③「ドライアイのせいで目が開きにくくなった気がする」
「目が乾きやすくなってから、無意識に目を半開きにしていることが多いみたいで、夫に“最近、疲れてる?”って聞かれるようになりました。」
→ 術後に起こる軽度のドライアイ症状により、目の開き方が変化し、周囲から「眠そう」「疲れてる」と見られることもあります。
④「強度近視の眼鏡をかけていたからすごく印象が変わった」
「昔からかなりの近視で、分厚い眼鏡をかけていたので、目が小さく見えていたと思います。レーシック後、裸眼になると“目が大きくなったね”とよく言われました。」
→強度近視用の眼鏡は凹レンズ(縮小レンズ)のため、目が小さく見えるという特性があります。これを外して裸眼になることで、本来の目の大きさが見えるようになり、印象が大きく変わるのは自然なことです。これはむしろポジティブな変化として受け取られるケースが多く見られます。
⑤「コンタクトレンズで夕方に目が開きにくくなっていた」
「夕方になるとコンタクトで目が乾いて開けづらくなり、目を細めてしまうのが気になっていました。レーシックを受けたらその感覚がなくなって、自然に目が開くようになって、表情が明るくなったと言われました。」
→コンタクトレンズによる長時間使用の疲労や乾燥感は、まぶたの動きや表情筋の使い方にも影響を与えます。レーシックでその負担がなくなった結果、逆に「目つきが良くなった」と感じられる変化も多く報告されています。
医学的な異常ではないが、心理的には見過ごせない変化
上記のようなケースは手術そのものによる外見的な副作用ではなく、間接的な要因(涙液の変化、光への敏感さ、無意識の表情の癖)による印象の変化です。ポジティブな部分もありますが、ネガティブな部分の多くは一過性なことが多いです。
しかし、患者本人にとっては「他人の視線」や「自己イメージの変化」として強く感じることがあり、心理的な負担となることもあります。
2.レーシック後に目つきが変わる主な原因4つ

レーシック後に「目つきが変わった」と感じるのは、手術そのものの失敗ではなく、視覚・感覚・表情の変化が複合的に影響しているためです。
レーシックは角膜にレーザーを照射し、屈折異常(近視・遠視・乱視)を矯正する手術です。手術によって眼球の外見が変わるわけではありませんが、術後に「目つきが変わったように見える」と感じる方が一定数います。
その多くは、以下の4つの要因が単独または複合して起こることによって生じる一時的な印象の変化です。
ドライアイによる目の開き方の変化

レーシック手術では、角膜表面の知覚神経が一時的に切断されるため、涙の分泌や質に変化が生じ、ドライアイ症状を引き起こしやすくなります。
症状の例
- まばたきの回数が増える
- 無意識にまぶたを少し閉じて乾燥を防ごうとする
- 目の開きが浅くなる(特に夕方以降)
これらの変化により、「眠そう」「目が細くなった」などの印象の変化が起こることがあります。
まぶしさ(光過敏)による目を細める癖

レーシック後は角膜がクリアになり、光の通りが良くなるため、一時的に光に敏感(フォトフォビア)になる方がいます。特に屋外の強い日差しや夜間のライトなどに対して、「まぶしい」と感じることが増える傾向にあります。
よくある行動
- 太陽やライトを避けて目を細める
- 顔をしかめる
- 眉間にシワが寄る
こうした無意識の表情が、険しい目つき・不機嫌そうな印象を与えてしまうこともあります。
視力変化により目の使い方が変わった

視力が大幅に改善されたことで、以前の“目を細めて見る”クセが必要なくなる一方、目の筋肉や表情の動きが急に変わることがあります。
特に、強度近視だった方は、以下のような変化を自覚することがあります。
- メガネのときに目を細めていたクセが残っている
- ピント合わせの必要がなくなり、目元の動きが変わった
- 顔の印象が明るくなった(ポジティブな変化)
ただしこの変化が一時的にぎこちなく見えることもあり、「目つきが変わった」ように感じるケースもあります。
術後の違和感や痛みによる表情の硬さ

レーシック後には軽度の異物感・乾燥・軽い痛みが生じることがあり、それに対する防御的な反応として顔がこわばることがあります。
- 無意識に眉間に力が入る
- 額にシワが寄る
- 目元の筋肉が緊張する
こうした表情の変化は本人に自覚がなくても、周囲から見ると「険しい目つき」に見えてしまう原因になります。
目つきが変わるのは“錯覚”ではないが、原因の多くは一時的
| 原因 | 説明 | 改善の可能性 |
|---|---|---|
| ドライアイ | 目の開きが浅くなる | 高い(点眼・涙点プラグ等) |
| 光過敏 | 無意識に目を細める | 高い(UVメガネ・時間経過) |
| 表情の癖 | 筋肉の使い方が変わる | 中程度(意識的な改善) |
| 表情のこわばり | 痛みや違和感に伴う | 高い(温罨法・ケア) |
3.レーシック後の目つき改善法・対策

多くの場合、目元の違和感や印象の変化は適切なケアによって改善が可能です。
レーシック手術そのもので顔のパーツや眼球の構造が変わるわけではありませんが、術後の一時的なドライアイや光過敏、目元の緊張などにより、目つきや表情が変わったように感じることがあります。
こうした変化に対しては、医学的なケアと日常生活での工夫を組み合わせることで、改善が期待できます。
ドライアイ対策(人工涙液・処方目薬)

レーシック後に最もよく見られるのが一時的なドライアイ症状です。角膜神経の一部が一時的に鈍くなるため、涙の分泌量や質が不安定になり、乾燥感・異物感・かすみ目などを引き起こします。
改善に有効な対策
- 市販の人工涙液(防腐剤なしのものが望ましい):1日4〜6回を目安に使用
- 眼科で処方される点眼:保湿効果が高く、持続性あり
- 重症例では涙点プラグ(涙の排出路を一時的にふさぐ処置)
まぶしさ対策(UVカットメガネ・サングラス)

レーシック後は、角膜がクリアになったことで光がダイレクトに入りやすくなり、一時的に光に敏感(光過敏)になることがあります。特に晴天の日や夜間の車のライトなどが辛く感じる方もいます。
有効な対策
- UVカット付きのメガネやサングラス:日常的に使うことで負担を大幅に軽減
- 遮光眼鏡:光のぎらつき感をおさえる効果があります
- 室内ではブルーライトカットメガネ:パソコン・スマホ作業時の刺激を緩和
- 外出時は帽子や日傘も併用すると、光の直射を避けやすくなります
目元の筋肉をリラックスさせる方法(温める・ストレッチ)

目の乾燥や違和感、眩しさに対して無意識に目を細めたり、眉間に力が入ることで、眼輪筋(目の周りの筋肉)が緊張状態になります。これが「険しい目つき」や「疲れた表情」に見える原因となることも。
自宅でできるケア
- 蒸しタオルで目元を温める(1回5分〜10分):血流が促進され、緊張が緩む
- ホットアイマスク(市販):毎晩のリラックスタイムに
- まぶたのストレッチ・マッサージ:
- ゆっくり目を閉じて5秒→大きく開く×5回
- 眉を上下に動かす軽い運動
※過度な圧迫は禁物なので、優しく行うことが大切です
美容医療やアイプチを使った目元の改善法(軽い症状の場合)

レーシック後に「二重幅が浅くなった」「目が開きづらくなったような気がする」といった変化が気になる方は、まぶたの筋肉の使い方が一時的に変わっている可能性があります。軽度の場合は、外科的なものではない美容的なアプローチも選択肢の一つです。
軽い目元の変化に対する改善方法
- アイプチ・アイテープ:一時的に二重ラインを調整して印象を戻す
- 眉メイクで印象調整:眉の位置や形を変えることで表情のバランスを整える
- まぶたの軽度なたるみにヒアルロン酸注射やボトックス(美容皮膚科)
注意点
こうした美容的処置を行う前に、必ず眼科的な問題(眼瞼下垂やまぶたの異常など)がないことを確認してください。美容だけで対応すべきものか、医学的な治療が必要かを見極めることが大切です。
まとめ:目つきの変化は正しくケアすれば元に戻せる
| 状態 | 対応策 |
|---|---|
| ドライアイ | 人工涙液・処方目薬・涙点プラグ |
| 光過敏 | UVサングラス・ブルーライトカット |
| 表情のこわばり | 蒸しタオル・目元ストレッチ |
| 軽い印象変化 | アイプチ・美容医療 |
4.まとめ〜目つきの変化に不安を感じたら、まずは正しい知識とケアを〜

レーシックは、近視・遠視・乱視などの屈折異常を矯正するための、安全性と実績のある視力回復手術です。しかし、術後に「目つきが変わった」と感じる方が一定数いるのも事実です。
ただし、これは手術の失敗ではなく、一時的な感覚や表情の変化による“印象の違い”が大半を占めています。
多くの場合、レーシックによる目つきの変化は一時的
- ドライアイ、光過敏、表情のクセなど、術後数週間〜数か月で自然に改善するケースが多数です
- 特に初期のうちは、目の違和感や見え方の変化に体が慣れていないため、一時的に目元の印象が変わったように見えることがあります
原因を正しく理解し、ケアをすれば十分に対処可能
- 人工涙液や処方点眼、UVメガネ、温罨法などのセルフケアが大きな効果を発揮します
- 美容的な印象の変化が気になる方は、アイプチやまぶたケアなどの軽い対策から始めるのも有効です
- 表情のこわばりが長引く場合は、筋肉のリラックスやストレッチも役立ちます
不安や違和感が続く場合は、早めに専門医に相談を
- たとえ軽微な症状でも、眼科医に相談することで安心できることが多くあります
- まれに、再矯正や追加治療が必要なケースもあるため、自己判断せずプロの意見を仰ぐことが大切です
自然な変化を受け入れることも大切に
手術後、見える世界が変わることで、自分自身の表情や印象に対する意識が高まるのは自然なことです。「目つきが変わった」と感じるのは、視力の改善によって自分の顔をよりクリアに見るようになったからかもしれません。
大切なのは、医学的な視点と心理的な安心の両方から、変化を正しく受け止めることです。
レーシックによる目つきの変化は、手術の失敗ではなく多くが一時的な印象の違いに過ぎません。ドライアイ対策や光対策、目元のリラックスなどで改善が期待でき、時間の経過とともに自然に落ち着くことも多いです。不安が続く場合は、眼科で相談することで安心につながります。正しい知識とケアを持ち、自分の変化を前向きに受け止めることが大切です。





























