レーシック完全ガイド〜手術の仕組みから費用・安全性まで

レーシック・SMILE・ICLなど最新の視力矯正手術を総合解説。費用や保険、手術の流れ、メリット・リスク等、長期的な視力回復と持続性をわかりやすく紹介する完全ガイド。

「メガネやコンタクトなしで毎日を過ごしたい」――そんな願いを叶える手段のひとつがレーシックです。しかし、費用やリスク、老眼との関係など、気になる点が多いのも事実です。本記事では、手術の仕組み・流れ・費用・メリットとデメリット・他術式との比較・安全性や年齢の目安を解説します。「レーシックを受けるか迷っている」「まず全体像を知りたい」という方は、ぜひ参考にしてください。

レーシックとは

レーシック(LASIK)は、角膜をエキシマレーザーで削り、近視・遠視・乱視などの屈折異常を矯正する視力回復手術です。フェムトセカンドレーザーで角膜表面にフラップ(薄い層)を作り、その下を削るだけで、翌日から社会復帰できるほど回復が早いのが特徴です。

手術の基本原理

レーシック手術の流れ

光が網膜上に正しく焦点を結ぶよう、角膜の形状を再設計。近視は中央を平坦化、遠視は周辺を削って中央を盛り上げ、乱視は方向に応じて非対称に削ります。

適応条件

屈折異常推奨範囲備考
近視-1D 〜 -8D-8Dを超えると矯正誤差や視力戻りのリスクが上昇
遠視+1D 〜 +3D術後に視力が不安定になることがある
乱視±0.25D 〜 ±3.0D3Dを超えると矯正の限界がある

※角膜厚500μm以上、残存角膜厚280μm以上が原則。当院では老視の影響を考慮し35歳以下を推奨しています。

照射設計と最新技術

視力矯正の結果を左右する大きな要素が、角膜にレーザーを照射する「設計方法」です。単に屈折度数を合わせるだけではなく、夜間視力やコントラスト感度など“見え方の質”を高めるためには、目の光学的ゆがみ(高次収差)をどこまで精密に補正できるかがポイントとなります。ここでは、現在主流となっている3つの照射設計方式を詳しく見ていきます。

ウェーブフロントガイド(WFG)

眼球全体を通過する光の波面を解析し、角膜だけでなく水晶体を含む眼全体の収差データをもとにカスタマイズする方法です。個人の「目のクセ」まで反映できる一方、測定の再現性が低い場合や中心ずれがあると正確さに影響が出ることがあります。高次収差の補正力は高いですが、涙液状態や測定条件に左右されやすい点に注意が必要です。

トポガイド(Topography-guided LASIK)

角膜表面の地形図(トポグラフィ)を詳細に解析し、角膜由来の不正乱視やゆがみを直接補正する方式です。ハローやグレアの軽減効果が高く、夜間視力の質を改善する報告も多くあります。涙液が安定している状態で測定することが重要で、データ精度が術後の仕上がりに直結します。

SightMap(レイトレーシング+AI補正)

最新の技術で、角膜前後面・水晶体・虹彩・前房深度までを三次元的に測定し、光の進み方をレイトレーシングで再現。さらにAIが解析して最適な照射パターンを設計します。角膜だけでは補正しきれない全眼球の収差を捉えられるため、従来方式では残っていた微細な光学的ゆがみを減らせるのが特長です。

項目トポガイドウェーブフロントガイドSightMap
補正の対象角膜表面の形状・不正乱視眼全体を通過する光の波面異常角膜+水晶体+眼軸全体の光学的ゆがみを3Dで再構成
データ取得角膜トポグラフィ(Placido+Scheimpflug)波面収差解析(Hartmann-Shack)眼球全体の収差をAI解析(OCT/CASIA併用)
高次収差補正◎ 角膜由来の高次収差に有効○ 全体補正だが角膜以外の誤差が混在◎ 全眼球の収差構造をトポガイド照射に反映
ハロー・グレア対策◎ 不正を修正し光のにじみを軽減△ 改善するが新たな収差が出る場合あり◎ トポガイド+SightMap補正でさらなる軽減
コントラスト感度◎ 改善報告が多い○ 良好◎ 改善+個別設計で予後予測も可能
対応症例不正乱視や角膜変形に強い正常角膜で中心固定がしやすい症例どちらの方式でも最適化照射の判断補助に有効
限界・注意点涙液不安定や瞬きでデータ精度が左右される角膜以外の要素が含まれ補正精度が不安定照射そのものは行わず補正戦略のガイド役

他手術との違い

視力矯正にはレーシック以外にも複数の選択肢があります。代表的なのはSMILE(スマイル)、ICL(眼内コンタクトレンズ)、そしてLASIK(レーシック)です。それぞれ仕組みや適応、術後の特徴が大きく異なり、「どれが優れているか」ではなく自分の目の状態やライフスタイルに合った方法を選ぶことが大切です。以下では3つの術式を比較し、メリット・注意点を詳しくまとめます。

代表的な術式と特徴

術式特徴
SMILE角膜の一部を小切開してレンズ状の組織(レンチクル)を取り出し視力を矯正。フラップを作らないためドライアイリスクが低い。ただし切除量や矯正度数の再調整が難しく、再手術がやや困難です。
ICL角膜を削らず、有水晶体眼内レンズを挿入。強度近視(-10D以上)や角膜が薄い人でも対応可能。可逆性があるとされますが、Vault(レンズと水晶体の隙間)の長期管理や白内障・緑内障のリスクが伴います。
LASIK角膜フラップを作成しレーザーで屈折を矯正。手術時間が短く、翌日から良好な視力を得やすい。再矯正が比較的容易で実績も豊富。角膜が十分な厚みを持つ健康な眼に向いています。

角膜が薄い、近視が強い、夜間の見え方を重視するなど、目の条件とライフスタイルによって最適な術式は異なります。また、施設によってはSMILEとLASIKのハイブリッド検査やICL併用提案を行う場合もあり、十分な術前検査とカウンセリングが重要です。

費用と保険・税制

レーシックは自由診療のため、公的医療保険は適用されません。しかし、手術にかかる費用は決して一律ではなく、術式・クリニック・アフターケアの内容によって幅があります。ここでは平均的な費用、保証制度、税制上の優遇措置まで詳しく解説します。

費用の目安

レーシックの総額は両眼でおおよそ30〜50万円が中心ですが、使用する機器や追加オプションによって20〜70万円と差があります。

術式両眼費用の目安特徴・追加費用例
スタンダードLASIK20〜35万円もっとも一般的。保証期間1〜3年が多い
トポガイド/ウェーブフロントLASIK30〜45万円高次収差補正対応。ナイトビジョン重視の方向け
SightMap補正併用35〜55万円AI解析を用いた最新方式
ICL(参考)60〜80万円レンズ代が高額。検査・長期管理費含む
SMILE30〜50万円フラップなし術式。再手術時は追加費用

追加費用に注意!

  • 再手術(エンハンスメント)料金
  • 点眼薬・検診料
  • 角膜強化(クロスリンキング)などオプション

クリニックによっては「保証込みのパッケージ料金」と「術後診療を別途請求」の二通りがあり、初期費用だけで比較しないことが重要です。

★EGEN Vision Clinicでは…

・すべての術式でフェムトセカンドレーザーを使用
・術後1か月までの診察費用、点眼薬を手術費用に含みます
・精密な術前検査・照射設計(WFG/トポガイド/Sightmap)も標準に含まれます

公的保険の扱い

  • 健康保険:対象外(自由診療)。
  • 医療費控除:適用可能。
    1月〜12月に支払った医療費の合計が年間10万円以上(所得200万円未満は所得の5%以上)なら確定申告で控除可。
    また、手術に伴う交通費(公共交通機関)も含められるのがポイントです。

レーシックは平均30〜50万円前後と高額に見えますが、コンタクトや眼鏡の維持費を長期で考えると10年程度で元が取れる場合もあります。重要なのは「価格の安さ」ではなく、術後フォローと保証体制まで含めた総合的なコストを把握することです。

メリットとデメリット

レーシックは、正しく適応を見極めて受ければ長期的に安定した裸眼生活を実現できる視力矯正手術です。一方で、目にレーザーを照射する以上、リスクや限界がまったくないわけではありません。ここでは、手術を検討する際に知っておきたい主なメリットとデメリットを詳しく整理します。

メリット ― 裸眼生活でQOLが大きく向上

1. 眼鏡やコンタクトの煩わしさから解放
手術翌日から多くの人が1.0以上の裸眼視力を得られ、朝起きてすぐに鮮明な景色を見られる快適さは大きな魅力です。旅行やスポーツ、突然の雨など、日常の小さなストレスが減り、生活の自由度が高まります。

2. コンタクトレンズ関連トラブルを回避
長年コンタクトを使用すると、角膜炎・ドライアイ・レンズ汚染などのリスクが避けられません。レーシック後はこれらの心配が不要になり、目の健康維持にもつながります。

3. 長期的には費用回収の可能性
コンタクトレンズやケア用品の年間コストは数万円に及びます。レーシック費用は両眼30〜50万円が相場ですが、10年ほどでコンタクト・眼鏡の維持費を上回るケースが多く、長期的には経済的メリットも期待できます。

デメリット・注意点 ― “完全にリスクゼロ”ではない

1. ドライアイ・夜間ハロー・グレア
術後しばらくは角膜神経が一時的に切断されるため、涙液の分泌が減りドライアイ症状が出ることがあります。夜間にライトがにじむ「ハロー」や強いまぶしさ「グレア」も典型的ですが、多くは数か月〜1年で軽快します。

2. 眼軸長は変わらず網膜リスクは残る
レーシックは角膜表面を矯正するだけで、眼球そのものの長さ(眼軸長)は変わりません。強度近視の人では網膜剥離などの将来リスクが残る点を理解しておく必要があります。

3. 稀に起こる心理的違和感や神経性疼痛
見え方の微妙な変化に敏感な人では「視覚過敏」や「神経痛様の違和感」が続くことがあります。身体的損傷がないにもかかわらず慢性的な不快感が生じるケースもごく稀に報告されており、術前カウンセリングでの体質・既往歴の確認が重要です。

レーシックは高い満足度と安全性が実証されていますが、ドライアイや夜間視力の変化など一時的・稀なリスクは避けられません。「裸眼で過ごしたい」という希望だけで即決せず、自分の目の状態やライフスタイル、将来の疾患リスクまで考え、医師と十分に相談して判断しましょう。

手術の流れと所要時間

レーシックは「眼の手術」と聞くと大がかりに感じますが、実際の施術時間は非常に短く、来院から帰宅まで約1時間半程度で終わります。ここでは、初診から当日の手術、術後のフォローまでを時系列で詳しく解説します。全体像を知っておくことで、当日の不安を大きく減らせます。

施術当日までの準備

  • 術前検査:角膜の厚み・形状、瞳孔径、涙液量などを詳細に測定。
  • コンタクトレンズ休止:ハードは3週間、ソフトは1週間以上外して角膜形状を安定させます。
  • 体調確認:風邪や目の充血がある場合は延期することもあります。

当日の流れ

行程所要時間内容
受付・最終検査約30分視力・角膜状態の最終チェック
点眼麻酔・消毒約10分目薬タイプの麻酔で痛みを防止
手術(両眼)約10分フラップ作成 → レーザー照射 → フラップ復位
休憩・医師の確認約20〜30分視力測定と角膜状態の確認
帰宅当日は公共交通機関で帰宅可能

麻酔は点眼のみで注射は不要。術中は「まぶしい光を見る」程度の感覚で、痛みはほとんどありません。

視力回復と持続性

レーシック最大の魅力は、術後すぐに得られる鮮明な裸眼視力が長期間安定する点です。最新のトポガイドやエキシマレーザー技術により、視力の質と持続性は年々向上しています。

術後3か月ほどで、多くの患者が裸眼1.0以上を達成します。軽度から中等度の近視(-1D〜-6D)ならほぼ全例が1.0以上、強度近視(-6D超)でもおよそ80〜90%が0.8〜1.0の視力を維持できるという臨床報告があります。さらに10年以上の長期追跡では、85%以上が0.8以上を維持したというデータもあり、視力の安定性が科学的に裏付けられています。

ただし、強度近視の人では眼軸がわずかに伸びることで「近視戻り」が起きる可能性があります。また、加齢に伴って水晶体が厚くなると軽度の視力低下を感じることがありますが、これはレーシックの失敗ではなく自然な生理変化です。長時間のスマホ利用や夜更かしなども近視傾向を助長する要因とされるため、術後も目を酷使しない生活習慣が大切です。

老眼との関係

「レーシックをすると老眼が早まる」という声を耳にしますが、実際には老眼が早まるのではなく、これまで近視によって隠れていた老視が表に出るだけです。

近視の人はメガネを外すと近くが見えるため、加齢による水晶体の調節力低下(老視)を自覚しにくい傾向があります。しかしレーシックで遠方にピントが合うようになると、40代に差しかかる頃から「近くが見えにくい」という老眼症状を実感しやすくなるのです。

老眼発症の目安と対策

  • 時期:40代前半から徐々に始まり、多くの人が老眼鏡を必要とするようになります。
  • 影響の大きさ:特に手術前に強度近視だった方は、術後の変化を強く感じる傾向があります。

当院では、老眼が始まる前に手術することで術後の違和感を減らすため、35歳までの手術を理想的なタイミングと位置づけています。

レーシックは高い回復率と10年以上の安定性を誇る一方、加齢による老視は避けられません。

ICLとの比較

視力矯正手術には角膜を削るLASIK(レーシック)と、眼内にレンズを挿入するICL(眼内コンタクトレンズ)という2つの主要な方法があります。どちらも裸眼生活を目指す手術ですが、仕組み・適応・術後管理はまったく異なります。自分に合う術式を選ぶためには、両者の違いを正しく理解することが重要です。

仕組みと適応の違い

LASIKは角膜をエキシマレーザーで削り、屈折力を変えて視力を矯正します。フラップを作るため角膜の厚みが十分に必要で、角膜条件が良好な人向けです。
一方ICLは、角膜を削らず水晶体と虹彩の間にレンズを挿入して光の屈折を補正します。角膜が薄い、あるいは-10Dを超える強度近視など、LASIKでは削除量が大きすぎる症例に対応できる点が大きな利点です。

ICL手術の流れ
項目LASIKICL
方法角膜を削って屈折力を調整有水晶体眼内レンズを挿入
強度近視△ 適応外になることも◎ 強度近視でも対応可
ドライアイ△ 術後一時的に起きやすい○ 角膜を削らないため少ない
費用約30〜60万円約60〜80万円(レンズ代込み)
可逆性不可レンズ摘出は可能だが完全には元に戻らない

長期管理とリスク

ICLは「レンズを外せる」という点で可逆的と説明されることがありますが、摘出には角膜切開が必要で元通りに戻るわけではありません。またVault(レンズと水晶体の隙間)の経年変化や白内障リスク、角膜内皮細胞減少など、長期的な経過観察が欠かせません。
LASIKは角膜を削るため可逆性はありませんが、条件が合えば追加矯正(エンハンスメント)が比較的容易で、術後の長期安定性は多くの研究で実証されています。

当院の方針

EGEN Vision Clinicでは、角膜の厚みや形状がレーシックに適している場合はLASIKを優先。ICLは「角膜が薄い」「極度の近視」「不正乱視が強い」など、LASIKが安全に行えないと判断された場合に限って提案します。

年齢適応

レーシックもICLも18歳以上であれば理論上手術可能ですが、最も理想的なのは18〜35歳の間とされています。

18〜35歳が最適な理由

  • 近視進行が安定:20代後半になると眼軸の伸びが止まり、術後の視力も安定しやすい。
  • 老視が始まる前:40代以降はピント調節力が低下し、手元が見えにくくなる老眼が発症。完全矯正すると老眼を早く自覚しやすくなります。
  • 角膜の治癒力が高い:若いほど角膜の再構築能力が高く、術後の安定性と見え方の質が向上します。

40歳以上に推奨しない理由

40歳を超えると老視や白内障リスクが高まり、術後に老眼鏡が必要になる可能性が大きくなります。さらに将来的に白内障手術が必要になった場合、角膜形状の変化が眼内レンズ度数計算を難しくすることもあります。
このため当院では40歳以上へのレーシックやICLは原則推奨していません

安全性と失敗リスク

レーシックは世界的に見ても成功率が98〜99%と非常に高く、重大な合併症の報告はごく稀です。最新のフェムトセカンドレーザーやトポガイド照射の導入によって、角膜切開や照射精度のばらつきは大幅に減少しています。とはいえ、医療行為である以上リスクが完全にゼロになることはありません

主な注意点

  • ドライアイ:術後しばらくは角膜神経が一時的に切断されるため、涙の分泌が減り乾燥感が出やすくなります。多くは数週間〜数か月で改善しますが、元々重度のドライアイがある場合は悪化する可能性があります。
  • 夜間のハロー・グレア:瞳孔径が大きい人では、夜間に光がにじむ現象が出ることがあります。近年はトポガイドやSightMap照射の併用で発生頻度は大幅に減少しています。
  • 心理的影響:視力が回復しても“見えすぎる”違和感や緊張感、神経性の痛みを感じる方がごく少数ながら報告されています。術前カウンセリングで不安や性格傾向を確認することが大切です。

これらは適切な適応検査と術式選びによって多くが回避でき、万が一発生しても点眼治療や追加矯正で改善できるケースがほとんどです。

特殊ケース〜パイロット志望者

航空業界でパイロットや航空機関士を目指す人は、航空身体検査という独自の基準をクリアする必要があります。レーシックを受けていても、術後6か月以上経過し視力が安定していれば合格可能とされています。

検査基準と追加評価

  • 矯正視力1.0以上が必須条件。裸眼視力には制限はなく、眼鏡・コンタクト・屈折矯正手術いずれも許容されます。
  • 手術歴がある場合は、夜間視力やコントラスト感度の評価が追加されることがあります。
  • ハローやグレアなどの異常光視現象が日常生活に支障をきたさないことが求められます。

術式ごとの適合性

  • LASIK:手術後6か月以降で視力が安定していればほぼ問題なし。
  • SMILE:角膜神経切断が少なく夜間視力の質が良好とされ、適合例が増えています。
  • ICL:航空会社によっては不可または要相談のケースがあり、慎重な確認が必要です。


レーシックは世界的にも非常に安全性が高く、重大合併症はまれです。ただしドライアイや夜間視力の変化など完全にゼロにはならないことを理解しておく必要があります。パイロットなど夜間視力が重視される職業を目指す場合は、術式選びと術後の検査計画を医師と十分に相談し、航空身体検査の基準に沿った対策を取りましょう。

よくある質問

Q1. 片眼だけレーシック手術を受けることはできますか?

はい、可能です。片眼のみ近視が強い場合や、すでにもう一方の目に手術歴がある場合は片眼だけの施術を選ぶことがあります。ただし両眼のバランスが崩れると違和感や疲れ目の原因になることがあるため、事前に両眼の見え方をシミュレーションし、十分なカウンセリングを受けることが大切です。

Q2. 視力が戻った場合、再手術(再矯正)はできますか?

条件が整えば可能です。術後の屈折戻り(リグレッション)や過矯正・低矯正がある場合、角膜に十分な厚みが残っていれば再手術が検討可能です。ただし、再手術は初回より角膜への負担や合併症リスクが高いため、慎重な適応判断と精密検査が必須です。

Q3. 将来白内障になった場合、レーシックを受けていても手術できますか?

可能です。ただしレーシック後は角膜形状が変化しているため、白内障手術で挿入する眼内レンズ(IOL)の度数計算が難しくなることがあります。近年は角膜前後面を三次元測定する機器や、AIを用いたIOL度数推定ソフト(Barrett True-Kなど)により、レーシック後でも高い精度で白内障手術を行えるようになっています。

Q4. ドライアイがあると手術は受けられませんか?

軽度であれば可能です。軽度のドライアイであれば、術前から点眼治療や涙液改善療法を併用することで安全に手術できる場合があります。一方、中等度〜重度のドライアイでは術後に症状が悪化したり視力の質が低下する可能性があるため、角膜神経密度や涙液分泌量を慎重に評価してから可否を判断します。
※SMILEは角膜神経切断が少なく、ドライアイ悪化が少ないと報告されています。

Q5. 視力が再び悪くなることはありますか?

まれにあります。加齢や眼軸の伸びにより、軽度の近視が再発する「屈折戻り」が起きる場合があります。特に若年者では眼軸が伸び続けるため近視傾向が残る可能性がありますが、レーシックがその進行を一定程度抑える可能性があるという報告もあります。

Q6. ハローやグレア(夜間のにじみ・まぶしさ)が心配です。

最新のレーシックでは大きく改善されています。ハロー・グレアは、照射径が瞳孔径より小さい場合や角膜収差補正が不十分な場合に起こります。近年はトポガイド照射やウェーブフロント最適化照射、全眼球収差を考慮したSIGHTMAP照射などの技術により、異常光視現象は大幅に軽減されています。


レーシックをはじめとする屈折矯正手術は、「裸眼で快適に過ごしたい」という願いを長期的にかなえられる有力な選択肢です。最新のトポガイド照射やSightMap解析、そしてSMILEやICLといった多様な術式が登場したことで、視力矯正はより個別化・高精度化が進みました。

世界的にはレーシック・SMILE・ICLいずれも成長市場であり、技術革新も加速しています。一方、日本ではレーシック件数が減少する一方で、ICLが急速に普及し、SMILEはまだこれから認知が広がる段階という独自の動きがあります。

手術を検討する際に大切なのは、「最新だから」「流行しているから」といった単純な理由ではなく、自分の目の状態・年齢・ライフスタイル・将来のリスクを総合的に考えることです。信頼できる医師とじっくり相談し、適応検査で得たデータをもとに最適な術式を選びましょう。

情報を正しく理解し、自分に合った方法を選ぶことが、大切です。

参考文献
Cui et al., 2023 (Frontiers in Med)
→ EX500を用いたLASIKで術後10年の視力安定性と低リオペ率を報告。

Schallhorn et al., 2008 (Ophthalmology)
→ PRKおよびLASIK術後12年間の追跡で視力安定性と高い満足度を確認。

Hashemi et al., 2021 (JCRS)
→ LASIK術後15年間の追跡で、平均視力0.92、矯正再手術率10%未満。


Wikipedia. LASIK: 累計4,000万件以上、2023年年間約168万件の施行報告ウィキペディア

EyeWorld. Decline in LASIK procedures vs growth in EVO ICL, SMILE(2024〜2025)eyeworld.org

ReLEx SMILE. 世界650万件、1,000万件超予測ウィキペディア

aylinkilic.net. 年間LASIK約168万件、SMILE約9.7万件の世界統計aylinkilic.net

INDEX

レーシック・SMILE・ICLなど最新の視力矯正手術を総合解説。費用や保険、手術の流れ、メリット・リスク等、長期的な視力回復と持続性をわかりやすく紹介する完全ガイド。

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