~眼科専門医が教える、手術をおすすめしないケースとリスクの真実~
ICL(眼内コンタクトレンズ)を検討中の方で、ネット上の「やめたほうがいい」「後悔した」という言葉を見て不安になっている方は少なくありません。 実は、その不安は正しいものです。ICLは魔法の手術ではなく、明確な「向き・不向き」がある医療行為だからです。
この記事では、メリットばかりではなく「どんな人がやめるべきか」「どんなリスクがあるか」に絞って、包み隠さず解説します。これを読むことで、ご自身が本当にICLを受けるべきか、冷静な判断ができるはずです
なぜ、「ICL やめた方がいい」と調べる人が増えているのか?
最近、ICLに関心を持つ方が増える一方で、不安から「やめた方がいい」と検索する人も目立っています。背景には、手術のメリットだけでなくリスクを事前に知りたいという心理があります。

最近、「ICL(眼内コンタクトレンズ)やめた方がいい」とインターネットで検索する人が増えています。
この背景には、「本当に自分に合っているのか?」「失敗したらどうしよう…」という不安やリスクを事前に知っておきたいという気持ちがあります。
ICLはとても魅力的な手術ですが、誰にでもおすすめできるわけではありません。
そこでこの記事では、「ICLをやめた方がいい」とされるケースに限定して、わかりやすく丁寧にご紹介します。
ICLの基礎知識やメリットについて知りたい方は、別のページをご覧ください。
なぜ「ICLはやめた方がいい」と言われるのか?
ICLは非常に満足度の高い手術ですが、以下の理由から「やめておけばよかった」と感じる方が一定数いらっしゃいます。主な理由は大きく4つです。

1. 費用が高額で、保険が効かない
ICLは自由診療であり、両眼で40〜70万円以上(施設による)と高額です。 「高いお金を払ったのに、期待した見え方と違った」となった場合のショックが大きいため、費用対効果にシビアな視点が必要です。
2. 「ハロー・グレア」がどうしても気になる
手術後、夜間の光がにじむ(ハロー)、まぶしく見える(グレア)といった症状が出ることがあります。 多くの方は数ヶ月で脳が順応し気にならなくなりますが、職業ドライバーの方や、神経質な方の場合、これが原因で「運転が怖い」「夜景が楽しめない」と後悔することにつながります。
3. 将来の「白内障手術」の手順が増える
ICLは眼の中にレンズを入れます。そのため、将来ご自身が加齢で白内障になり手術が必要になった際、「まずICLを取り出し、その後に白内障手術を行う」という手順が必要になります。 ICLを入れたまま白内障手術はできませんので、将来的に一度レンズを抜く手術が必要になる点は理解しておく必要があります。
4. 長期的なリスク(Vaultの変化・細胞減少)
ICLレンズと水晶体の隙間(Vault)は、加齢とともに狭くなる傾向があります。 隙間が狭くなりすぎると白内障を誘発するリスクがあり、逆に広すぎると緑内障のリスクになります。また、角膜内皮細胞が減少しないか、年1回の定期検診が一生涯必要になります。
ICLを「やめたほうがいい」人の特徴
当院では、以下に当てはまる方にはICLをおすすめせず、他の方法(レーシック、SMILE、眼鏡など)をご提案、あるいは手術自体をお断りしています。
1. 40代以降の方(老眼とのバランスが悪い場合)
ICLの手術自体は40代以降でも可能ですが、遠くが完全に見えるようになると、その分「手元の見えにくさ(老眼)」を強く自覚するようになります。 「せっかく手術したのに、今度は老眼鏡が必要になった」という後悔を防ぐため、当院では40代の方には慎重なシミュレーションを行います。 納得いただけない場合は、手術をおすすめしません。
2. 神経質で、見え方の質にこだわりが強い方
「少しの光のにじみも許せない」「完璧な見え方でないと嫌だ」という方は、ICL特有の見え方(ハロー・グレアやレンズの光沢感)がストレスになりやすいため、慎重な検討が必要です。
3. 前房深度(眼のスペース)が浅い方
角膜と水晶体の間のスペースが狭い方に無理にICLを入れると、白内障や角膜障害のリスクが跳ね上がります。医学的な適応基準を満たさない場合は、絶対に受けるべきではありません。
4. 妊娠・授乳中の方
ホルモンバランスの影響で視力が不安定になるため、この時期の手術は避けてください。
長期的な安全性にはまだ限界がある
近年のICLは「中央に穴があいた新しいタイプ(EVO)」が主流となり、安全性が向上しています。
しかし、10年以上の超長期成績については、まだ十分なデータが揃っているとはいえません。
また、Vault(レンズと水晶体の隙間)や角膜内皮細胞の減少など、経年変化にも注意が必要です。
補足:ICLの適応条件(概要)と、非適応・夜間の見え方が気になる場合の選択肢
ICLの主な適応条件(概要)
- 屈折が安定している(1〜2年で大きな変化がない)
- 角膜形状が安定で、円錐角膜などの異常がない
- 前房深度(角膜内皮から水晶体前面まで)や角膜内皮細胞密度が基準を満たす
- 眼圧・視神経が安定している(緑内障の所見がない)
- 妊娠・授乳中でない(この期間は原則不可)
- 定期検診に通える(Vaultや内皮細胞の経年フォローが前提)
※数値閾値や測定方法は機種・施設で異なります。必ず担当医の基準で評価します。
※EGEN Vision Clinicでは、屈折矯正術全般の原則適応年齢を45歳までとしています(老視の出現・長期安定性の観点からの方針)。
もしICLが不向きなら、どうすればいい?
「自分はICLに向いていないかも…」と思っても、諦める必要はありません。眼の状態に合わせて、以下のような選択肢があります。
選択肢1:トポガイドLASIK(レーシック)
角膜の厚みが十分にある場合、レーシックの方が「見え方の質(乱視矯正の精度など)」が高いケースがあります。特に不正乱視がある方は、ICLよりもレーシックの方がクリアに見えることが多いです。
選択肢2:SMILE pro(スマイルプロ)
ドライアイが心配でICLを考えていた方には、角膜へのダメージが少ない「SMILE pro」が最適解になることがあります。強度が強く、スポーツをする方にも向いています。
選択肢3:手術をしない(眼鏡・コンタクトの適正化)
重度のドライアイや、眼の神経が過敏な状態(神経因性角膜痛の疑い)がある場合は、あえて手術をせず、ドライアイ治療や眼鏡の調整を行うのが最も安全な選択です。
ICLをやめた方がいいかもしれない人の特徴
適応条件を満たしていない場合や、体質やライフスタイルによっては手術が不向きなことがあります。以下のような特徴に当てはまる方は注意が必要です。

ICLを受けたいと思っている方で、以下に当てはまる方は、慎重に検討しましょう。
| 特徴 | 理由 |
| 強いドライアイがある | 眼の表面状態が悪いと、どんな手術でも「見えにくい」と感じやすくなります。 |
| 緑内障や糖尿病などの持病がある | 手術そのものが危険なこともあります。主治医とよく相談しましょう。 |
| これから妊娠・出産を予定している | 妊娠中はホルモンの影響で視力が変化しやすいため、手術は避けた方が良い時期です。 |
| 費用がどうしても負担に感じる | 無理に受ける必要はありません。「やらない」という選択も大切です。 |
| 定期検診に通い続けるのが難しい | ICL後は年に1回など、Vaultや内皮細胞の状態を長く見ていく必要があります。 |
「やめなかった」ことで後悔したケースとは?
実際にICLを受けた方の中には、思い通りの結果が得られず後悔した声もあります。ここでは、その具体的な理由を紹介します。

ICLを受けて後悔した声を紹介します。
| 後悔した理由 | 詳細 |
| 視力が思ったほど出なかった | 特に強度近視では、すべてが1.5見えるようになるとは限りません。 |
| ハロー・グレアが消えなかった | 夜間の運転や仕事に支障を感じる方もいます。 |
| サイズが合わず、再手術が必要になった | ICLのサイズが合わないと、Vaultが高すぎたり低すぎたりして抜去や交換が必要になることがあります。 |
| 費用に見合わないと感じた | 期待が大きすぎると、結果に満足できないこともあります。 |
一方で「受けてよかった」と感じている人の傾向
すべての人が後悔しているわけではなく、手術に満足している方も多くいます。特にある条件を満たした方は、ポジティブな結果を得やすい傾向があります。

次のような方は、ICLを受けて満足されている傾向があります。
- レーシックができない強度近視だった方
- コンタクトが合わず、装用がつらかった方
- 将来にわたって安定した視力を望んでいた方
- 定期的に検診を受けることができる方
後悔しないために、今できること
ICLを検討中の方にとって大切なのは、情報を集めて冷静に判断することです。事前にできる工夫や準備について解説します。

ICLを検討するときに大切なのは、「なんとなく良さそうだから」と決めてしまわないことです。後悔を防ぐためには、以下のことに注意して進めることがおすすめです。
- 適応検査をしっかり受け、自分の眼の状態を確認
- 自分にとってのメリット・デメリットを紙に書き出して比べる
- 費用の総額とその後のケアまで含めて考える
よくある質問(Q&A)

A.いいえ、ICLを入れたままでは白内障手術はできません。白内障手術が必要になった場合は、必ず先にICLを抜去してから白内障手術を行います。
A.多くの人は一時的に感じますが、ほとんどの場合、時間とともに慣れてきます。ただし、残る方もいるので事前に理解を。
A.現在のEVOシリーズは長期的な安全性が高いとされています。ただし、10年以上のデータはまだ少ないので、加齢による眼の変化(水晶体が厚くなるなど)でレンズが合わなくなったり、眼への負担が増えることが予測される場合には抜去が必要です。そのため長期的な定期検診が必要です。
A.長い年月をかけて少しずつ減るというデータがあります。もともと内皮細胞が少ない方は慎重に検討を。
A.妊娠・授乳中はおすすめできません。視力が変動しやすく、安全性が確立されていないためです。視力が安定してから受けることを強くお勧めします。
まとめ:後悔しないために
ICLは「誰にでも合う手術」ではありません。 しかし、適応条件を満たした方にとっては、人生が変わるほど素晴らしい手術であることも事実です。
大切なのは、「メリットしか言わないクリニック」を避け、「あなたにはICLは向いていない」と正直に言ってくれる医師を選ぶことです。 迷われている方は、セカンドオピニオンとしてでも構いませんので、一度ご相談ください。あなたの眼にとって「やめるべきか、やるべきか」を、客観的なデータに基づいて診断します。





























