白内障は、誰にでも起こる可能性があります。最初は「少しかすむ」「まぶしい」といった小さな違和感から始まり、ゆっくりと進行していきます。この記事では、白内障の症状や原因、放置したときのリスク、そして手術のタイミングまでをわかりやすく解説します。
白内障とは?まず知っておきたい基礎知識

白内障は、目の中のレンズである水晶体が白く濁ることで起こる病気です。年齢とともに誰にでも進行し、視界のかすみやまぶしさなど、生活に支障をきたす症状が現れます。早期に正しく理解しておくことが、視力を守る第一歩になります。
水晶体が「濁る」とはどういうこと?
白内障とは、眼の中にある「水晶体」と呼ばれる透明なレンズが濁ってしまう状態です。水晶体は、カメラでいえばレンズのような働きをする組織で、本来は透明で柔らかく、ピントを合わせる調整も担っています。この水晶体が濁ると、光が眼の奥(網膜)まで届きにくくなり、視界がかすんだり、ぼやけたり、まぶしく感じるようになります。濁りの程度や場所によっては、見え方の質が大きく低下し、眼鏡では矯正できない視力低下が生じます。
加齢との関係
白内障は加齢とともに誰にでも起こる変化であり、老眼やシミと同じように「年齢を重ねることで自然に始まるもの」と考えられています。特に40代後半から水晶体の変性が始まり、60歳を過ぎると多くの人で程度の差はあれ白内障が見られます。加齢性白内障は、最も一般的なタイプで、時間をかけてゆっくりと進行します。
他の病気との違い
白内障は水晶体の濁りが原因ですが、似たような見えにくさを引き起こす眼の病気は他にもあります。
| 疾患名 | 原因 | 主な症状 |
| 緑内障 | 視神経の障害 | 視野が欠ける、進行するまで気づきにくい |
| 黄斑変性 | 網膜の中心部の障害 | 中心がゆがんで見える、視力低下 |
| 糖尿病黄斑浮腫 | 血管障害 | かすみ、ゆがみ |
白内障は視力低下やかすみが“眼鏡をかけても改善しない”という形で現れるのが特徴です。
ただし、他の病気と同時に進行していることもあり、正確な診断には専門的な検査が必要です。
放置するとどうなる?
白内障はゆっくり進行することが多いため、「まだ見えているから大丈夫」と思ってしまう方も少なくありません。しかし進行が進むと、眼鏡でも視力を補えなくなり、生活に支障をきたすようになります。また、放置して「膨隆白内障(ぼうりゅうはくないしょう)」という状態になると、水晶体が膨張して眼圧が上がったり、炎症を引き起こしたりすることもあります。見え方の不自由さだけでなく、医学的にも注意が必要な段階に移行する可能性があるのです。
白内障の代表的な症状とは?

白内障は、水晶体という眼の中の透明なレンズが濁る病気です。そのため、見え方が少しずつ変わってきます。進行はゆっくりなことが多く、初期は「年齢のせいかな」と思って見過ごされがちですが、次のような症状が代表的です。
視界がかすむ・ぼやける
最も多い症状が「かすみ」です。
- 眼鏡をかけてもなんとなく見えにくい
- 薄い霧がかかったように感じる
- 全体的にくもったような視界になる
このように、コントラストが低下して細かい文字が読みにくくなったり、全体が白っぽく見えたりします。白内障は中心部だけでなく周辺部から濁ってくることもあるため、初期は特定の場面でだけ「見えづらさ」を感じることがあります。
光がまぶしく感じる(グレア現象)
夜間運転の際に、対向車のヘッドライトがまぶしくて運転しづらいと感じたことはありませんか?これは「グレア(Glare)」と呼ばれる現象で、水晶体の濁りが光を乱反射させることで起こります。グレアは以下のような場面で気づかれることが多いです。
- 夜間の運転中にまぶしい
- 昼間の太陽光で目が開けづらい
- 室内でも蛍光灯の光がまぶしく感じる
特に白内障の中でも「皮質白内障」や「後嚢下白内障」ではこの症状が強く出やすく、視力検査では異常がないのに、実生活でとても不便に感じるというケースもあります。
片眼ずつ見たときに差を感じる
白内障は両眼同時に同じスピードで進行するとは限りません。そのため、
- 「右眼はすっきり見えるのに、左眼だけぼやけている」
- 「片眼で見るとまぶしいのに、もう一方の眼ではそうでもない」
といった違和感が出ることがあります。片眼ずつ見え方を比べてみることも早期発見のきっかけになります。
その他の症状
白内障の種類や進行度によっては、以下のような症状も見られることがあります。
| 症状 | 説明 |
| 二重に見える(単眼複視) | 片眼で見ても像が二重に見えることがある |
| 色が薄く見える | 全体的に色の鮮やかさが落ちてくる |
| 近くがよく見えるようになる | 核白内障が進むと、一時的に近くが見えやすくなることがあるが、その後急激に視力低下する |
初期症状の特徴と見分け方

白内障は、水晶体という眼の中のレンズが濁ることで見えにくくなる病気です。進行はゆっくりで、初期には老眼とよく似た症状が出るため、気づきにくいのが特徴です。実は、若いころから裸眼で遠くも近くもよく見えていた方と、もともと近視で眼鏡を使っていた方とでは、白内障に気づくタイミングや症状の自覚の仕方が異なります。その違いを知っておくことが、早期発見につながります。
ごく初期に見られる兆候とは?
白内障の初期には、次のような“なんとなく不便”な症状が出始めます。
- 全体的にかすんで見える
- 明るい場所でまぶしさを感じる
- 眼鏡をかけても視界がクリアにならない
- 暗いところで見えにくくなった
- 色が白っぽくあせて見える
これらの症状は、視力検査ではまだ数字に表れないことが多く、老眼と間違えてしまうことが少なくありません。
老眼と白内障の違いは?
| 比較項目 | 老眼 | 白内障 |
| 見えにくさ | 近くが見えづらい | 近くも遠くも全体的にかすむ |
| 見え方の質 | ピントが合わない | 白っぽく、にじむような見え方 |
| まぶしさ | あまり感じない | 明るい光に敏感になる(グレア) |
| 眼鏡の効果 | 老眼鏡で改善可能 | 眼鏡でも改善しにくい |
| 原因 | 水晶体のピント調節力の低下 | 水晶体そのものの濁り |
老眼はピントを合わせる力の衰え、白内障はレンズ自体が濁る病気です。初期にはとても似ているため、慎重な見極めが必要です。また、白内障が進行するにつれて水晶体の弾力もさらに失われ、老眼もより強くなっていきます。つまり、白内障と老眼はそれぞれ別の変化ですが、同時に進行することも多いため、症状が重なって現れることがよくあります。
見え方の違いに気づくポイントは人によって異なる
① もともと裸眼で見えていた方(軽度の遠視が多い)
若いころから眼鏡なしで遠くも近くも見えていた方には、実は「軽い遠視」の方が多く含まれます。このような方は以下のような順で変化します。
- 40代前後:老視が始まり、まず近くが見えにくくなる
- 50代以降:老視が進み、遠くもぼやけるようになる
- 白内障が加わると:さらに視界が白っぽくなり、まぶしさも感じ始める
このように、老視と白内障の進行が重なることで、近くも遠くも見えづらくなるため、見え方の変化に混乱しやすくなります。
② 近視で普段から眼鏡を使っている方
このタイプの方は、視力の変化に比較的敏感です。
- 遠近両用眼鏡で近くも遠くも見ていたのに、眼鏡をかけてもすっきり見えなくなった
- レンズを変えても以前ほど見やすくない
など、白内障の初期変化に気づきやすい傾向があります。特に、「見え方の質」が落ちた(白っぽい、まぶしい、にじむなど)と感じたときは、白内障の可能性があります。また、白内障は左右で進行の速度が異なることもあるため、「片眼だけで見てみる」ことがとても有効です。
自分でできる!白内障の症状セルフチェック

白内障は、初期のうちは「なんとなく見えにくい」「まぶしい」といったぼんやりとした違和感として現れます。そのため、症状に気づかないまま進行してしまうこともあります。
以下のような日常のちょっとした見え方の変化に注目することで、早期発見につながります。
こんな変化があれば要注意
| 症状 | チェックポイント |
| 視界がかすむ | 眼鏡をかけても全体が白っぽく見える/もやがかかったように見える |
| 光がまぶしい | 晴れた日の屋外や、夜間の車のライトが以前よりまぶしく感じる |
| 二重・三重に見える | ライトや文字がにじんで見える/光の周囲に輪がかかる |
| 見え方に左右差がある | 片眼ずつで比べると、どちらかが明らかに見えづらい |
| 明るくしても逆にまぶしい | スマホ画面の明るさを上げたのに、まぶしさで見づらくなる |
| 色の見え方が変わった | 色の見え方が変わった |
| 眼鏡が合わなくなった | 新調した眼鏡でも視界がはっきりしない/すっきり感がない |
スマホや本の文字でわかる白内障のサイン
老眼も近くの文字が読みづらくなりますが、白内障ではそれに加えて「全体的にかすむ・白っぽくにじむ」「光がまぶしい」などの症状が加わるのが特徴です。
たとえば、
- スマホ画面の明るさを上げても見えづらく、まぶしさで目が疲れる
- 本を読んでいると、十分明るい場所でもくっきり読めない
- コントラストが低く、背景と文字の境目がぼやけて感じる
このような場合は、白内障による「透明度の低下」や「グレア(光の散乱)」の影響が考えられます。
セルフチェックのポイント
- 片眼ずつで見え方を確認する
→白内障は左右差が出ることがあるため、片眼チェックが有効です。 - 時間帯や環境によって見え方が変わるか意識する
→朝と夜、室内と屋外などでの違いも重要なサインです。 - 眼鏡をかけても改善しない場合は要注意
→屈折矯正で改善しないかすみは、白内障の初期症状である可能性があります。
白内障の原因とリスク要因

白内障は「年齢を重ねれば誰でもなる」と言われるほど一般的な病気ですが、加齢だけでなく、進行を早める生活習慣や環境要因も存在します。正しく知って、できることから予防に取り組むことが大切です。
加齢は最大の原因
白内障の多くは「加齢性白内障」と呼ばれ、年齢とともに眼の中の水晶体が白く濁ってくることで起こります。水晶体は本来透明ですが、加齢によりたんぱく質が変性し、光が通りにくくなっていきます。これはほとんどの人に起こる自然な変化です。
紫外線の影響
長年にわたり紫外線を浴び続けることも、白内障の進行リスクになります。屋外での活動が多い方や日焼けしやすい環境で生活している方は、紫外線対策をすることで白内障の進行をゆるやかにする可能性があります。帽子やUVカットサングラスの着用は、眼を守るために有効です。
スマホ・パソコンの使用は直接の原因ではないが…
スマートフォンやパソコンを使うことが白内障の「直接の原因」になるという医学的根拠は現在のところありません。ただし、白内障が進んでくると、画面の光がまぶしく感じられる(グレア)ようになり、「スマホを明るくしても逆に見づらい」といった不快感が出てくることがあります。
また、ブルーライトに関しては現在、眼精疲労への影響は科学的に明確とは言えず、むしろ、夜間に浴びることで睡眠の質を下げる可能性が指摘されています。白内障とブルーライトの関係は直接的なものではありませんが、まぶしさや不快感に対する感受性が高まることで、見えづらさを感じやすくなると考えられます。
糖尿病の影響
糖尿病は白内障のリスクを高める代表的な疾患です。血糖値の変動が大きいと、水晶体に影響を及ぼし、白内障の進行を早めることがあります。
特に血糖コントロールが不十分な場合は注意が必要です。
喫煙のリスク
喫煙は眼の酸化ストレスを高め、白内障の進行に関与します。
たばこの煙に含まれる有害物質が、水晶体の透明性を損なうことがわかっており、禁煙は白内障予防にもつながる生活習慣改善のひとつです。
その他のリスク要因
- ステロイド薬(点眼・内服)の長期使用
- アトピー性皮膚炎
- 眼の外傷(打撲や異物)
- 遺伝的要因(家族歴など)
これらの要因も白内障の進行に関与することがあります。
放置するとどうなる?白内障の進行とリスク

白内障は進行がゆるやかなため、初期の段階では「まだ困っていないから大丈夫」と思ってしまう方も少なくありません。しかし、放置してよい白内障と、早めの対処が必要な白内障があります。
視力は少しずつ確実に低下します
白内障は自然に治ることはなく、進行とともに水晶体の濁りが強くなり、視界がかすんだり、暗く感じたり、まぶしくなったりといった症状が悪化していきます。進行すれば視力は0.1以下にまで低下し、眼鏡やコンタクトレンズを使っても視力を矯正できない状態になることもあります。
日常生活への影響が大きくなる
視力の低下は、以下のような日常生活にも大きな支障をきたします。
- 運転免許の更新ができない
- 読書やスマホの文字が読めない
- 外出時の段差や階段が見えづらく、転倒の危険が増す
- 夕方や夜間の見え方が急激に悪化する(特に高齢者)
特に高齢の方では、視力の低下による転倒・骨折リスクが健康寿命を縮める原因にもなり得ます。
自覚症状の差は生活スタイルにも関係します
実は、白内障の自覚症状は、その人の生活スタイルによっても気づきやすさが異なります。たとえば、普段は室内で過ごす時間が多く、外出といえば買い物や食事程度の方は、多少の視力低下やまぶしさがあっても日常に支障が出にくく、白内障の進行に気づくのが遅れる傾向があります。
一方、釣り・ゴルフ・旅行・登山など、屋外で距離感や明るさの変化を必要とする活動を行う方は、視界の違和感や光の眩しさにいち早く気づくことが多く、比較的早い段階で受診につながることもあります。つまり、白内障の症状は生活の中でどれだけ“見え方”を意識するかによっても、気づきのタイミングが異なるというわけです。
放置して「膨隆白内障」になるとリスクが高くなる
白内障が極端に進行すると、水晶体が膨らんでくる「膨隆白内障(ぼうりゅうはくないしょう)」という状態になります。これにより眼内圧が上昇し、緑内障を引き起こす可能性が出てきます。
また、水晶体が内部で変性し、炎症を起こすことで「水晶体起因性ぶどう膜炎(すいしょうたいきいんせいぶどうまくえん)」といった合併症を引き起こすこともあります。このような状態になると手術も難易度が高くなり、合併症のリスクが高まるため、手遅れになる前に適切なタイミングで治療することが重要です。
他の病気の発見が遅れることも
白内障によって視界が悪くなっていると、網膜の病気(黄斑変性、糖尿病網膜症など)の診断が難しくなることがあります。白内障を治療して視界がクリアになることで、隠れていた他の病気が見つかるケースも少なくありません。
「手遅れ」となる前に
「白内障は放っておいても失明することはない」と言われることもありますが、白内障が進行することで、他の病気のリスクが高まり、最終的に視力の回復が困難になる場合もあります。特に以下のような場合は、早めに眼科での検査・相談をおすすめします。
- 以前よりもまぶしさが強くなった
- 眼鏡を変えても視力が出なくなってきた
- 夜間の運転が不安
- 左右で見え方がちがう
症状が出たら眼科へ!受診の目安と診断の流れ

白内障は少しずつ進行するため、「なんとなく見えにくい」「最近ちょっとまぶしいかも」といった軽い変化では、すぐに受診しようとは思わない方も多いかもしれません。しかし、気づいたときには進行していたというケースも少なくありません。
どのタイミングで眼科に行くべき?
以下のような変化があった場合は、白内障の初期症状である可能性があります。早めに眼科を受診しましょう。
- 眼鏡を変えても見え方が改善しない
- 最近、光がまぶしく感じるようになった(昼間の外出や対向車のライトなど)
- 視界が全体的に白っぽく、かすんで見える
- スマホや本の文字が読みにくくなった
- 夜間の運転がしづらくなった
- 明るさを上げてもスマホ画面がまぶしいだけで見えづらい
特に「まぶしさ」や「見え方の変化」は白内障の初期に最も多いサインです。「眩しく」ても「かすんで」も視力がおちない状態が続く場合、日常生活にあまり支障がないと判断し放置される方も多いですが、見えにくさを感じ始めた段階での受診が理想です。
症状が軽くても要注意なサイン
白内障の進行は生活スタイルによっても気づきにくい場合があります。
室内中心の生活を送る方や、もともと眼鏡をかけていた方などは、変化を見過ごしてしまうことがあります。
また、「老眼が進んだだけかな」と思っていたら白内障だった、ということもあります。
特に以下に当てはまる方は、一度しっかりと眼科での検査を受けておくと安心です。
- 60歳以上で、最近視力が落ちたと感じる
- もともと遠くも近くも裸眼で見えていたのに、両方見えづらくなってきた
- 老眼鏡が合わなくなってきた
- 片眼だけ視力の落ち方が早い
眼科での診察の流れ
受診後は、次のような検査・診察が行われます。
- 視力検査:裸眼、眼鏡使用時の視力を確認
- 眼圧検査:緑内障など他疾患との関係も確認
- 細隙灯(さいげきとう)検査:水晶体の濁りの程度を直接確認
- 眼底検査:網膜や視神経の状態も確認し、白内障以外の疾患の有無を確認
- 屈折検査・ライフスタイルヒアリング(必要に応じて):手術が視野に入る場合、見え方の希望や生活背景も丁寧に聞き取ります
特に白内障の手術を検討する場合、生活スタイルに合った焦点距離の提案や、乱視の有無のチェックなど、より詳細な検査が行われます。
どの程度で手術が必要になる?

白内障の手術を「いつ受けるか」は、実はとても大切な問題です。早すぎても、遅すぎても後悔につながる可能性があるため、症状の進行とご自身の生活のしづらさ、そして医師の判断を総合的に見て判断する必要があります。
手術の目安は「視力」だけではない
白内障手術の適応を考えるうえで、多くの方が「視力が〇以下になったら手術」というイメージをお持ちかもしれません。確かに、視力(裸眼または矯正視力)が0.7以下になると、日常生活や運転に支障が出るため、手術を勧められることが多くなります。しかし実際には、視力がまだそれほど落ちていなくても、見えづらさを強く感じている方は少なくありません。
見えにくさのもう一つの原因「コントラスト感度の低下」
白内障では、水晶体の濁りによって「視力」だけでなく「コントラスト感度」も大きく低下します。
- 視力:黒い文字が白い背景にくっきり表示される状態で、どれだけ細かい字まで見えるか
- コントラスト感度:薄暗い場所、逆光、まぶしい場面などで、物の輪郭や立体感をどれだけ正確に認識できるか
つまり、「視力検査の数字」は問題ないのに、「実際の生活では見えにくくて困っている」という方も多いのです。特にこんな訴えがある場合は、コントラスト感度の低下が進んでいるサインです。
- 昼間の外出時、まぶしくて見えづらい
- 夜間の運転が怖い
- 細かい作業(裁縫・読書・スマホ操作)がつらくなってきた
- 表情が見えづらくなった、人の顔がぼんやりしている
こうした症状があるにもかかわらず、視力だけを見て「まだ手術の段階ではない」と言われてしまうことがあります。視力だけでなく、コントラスト感度などの“見え方の質”を医師と一緒に評価してもらうことが大切です。
医師が手術をすすめるタイミングとは?
医師が白内障手術を検討するタイミングは、一般的に次のような要素を総合的に判断します。
| 判断基準 | 内容 |
| 視力(矯正視力) | 0.7未満であれば日常生活や運転に支障が出始める |
| コントラスト感度 | 低下していると生活のしづらさが増す(視力では測れない) |
| 白内障の進行度 | 水晶体の濁りの程度・位置によっては軽度でも視機能に影響が出る |
| 患者のライフスタイル | 運転、読書、趣味、仕事など見え方への要求レベルは人によって異なる |
| 他の眼疾患との関係 | 緑内障や網膜疾患の診断・治療のために水晶体を透明にする必要がある場合も |
こんなケースでは医師に相談を
- 視力はそれほど落ちていないが、日常生活に強い見づらさを感じている
- 他院で「まだ手術の段階ではない」と言われたが、実際には困っている
- コントラストの低下やまぶしさが強くなってきた
- 「もう歳だから」「白内障は誰でもなるから仕方ない」と言われ納得できなかった
このような場合は、改めて見え方の質を評価できる眼科専門医に相談することが重要です。白内障手術は「我慢できないほど見えづらくなってから」ではなく、「日常生活の質が低下してきた」と感じたときが検討のタイミングです。
よくある質問

はい、白内障は片眼だけに先に症状が出ることも少なくありません。ただし、加齢が主な原因であるため、多くの場合は時間差でもう片方の眼にも同様の変化が現れます。
なお、片眼だけ手術を受ける場合は、手術しない眼との「見え方のバランス」が問題になることがあります。たとえば、片眼が遠くにピントが合うのに、もう片眼が近くにピントが合っていると、脳がうまく情報を統合できずに疲れやすくなることがあります。
そのため当院では、片眼手術であっても両眼のバランスを重視したレンズ選定と屈折設計を行っており、必要であれば眼鏡やコンタクトレンズの活用も組み合わせながら快適な見え方を追求します。
はい、初期の白内障では、眼鏡の度数を調整することで見え方が改善する場合があります。水晶体の濁りが進行してくると、近視・遠視・乱視・老視の変化が起きて眼鏡が合わなくなることがありますが、その段階ではまだ手術が不要なこともあります。
ただし、以下のような症状が出てきたら、眼鏡での矯正では限界がある可能性があります。
・以前よりもまぶしさが強くなった
・明るさによって見え方が変わる
・新しい眼鏡でもピントが合いにくい
・夕方や暗い場所での見え方が急に落ちた
このような場合は、白内障の進行が見られる可能性があるため、眼科を受診して検査を受けることをおすすめします。
はい、白内障はゆっくり進行するため、自分では気づきにくいケースも多くあります。特に片眼から進行した場合や、もともと近視・遠視・老眼などの見え方に慣れている方は、見えづらさを「年齢のせい」「眼鏡の度数が合っていない」と思い込み、受診が遅れることがあります。
一方で、ご家族や職場の方から「テレビに近づきすぎている」「最近見づらそうにしている」などの指摘で受診される方も少なくありません。
とくに以下のような生活スタイルの方は、白内障の進行に気づきにくい傾向があります。
・家で過ごす時間が長く、暗い場所での作業が多い
・買い物や外出の頻度が少ない
・趣味や仕事で細かい視作業をあまり必要としない
反対に、アウトドアや運転、釣り、ゴルフ、旅行などを楽しむ方は、わずかな視力やコントラストの低下にも早く気づくことが多いです。
白内障は放置すれば進行し、生活の質を下げる病気ですが、早期に気づけば治療や生活の工夫で快適な視界を保つことができます。「見え方が変わったかも」と思ったら、眼鏡のせいにせず眼科で相談してみましょう。早めの受診と納得のいく選択が、未来の視力を守るカギになります。





























