ICLを受けるべきかどうか、迷っている方は少なくありません。インターネットで調べるとメリットばかりが目につきますが、不安を感じるのは自然なことです。この記事では、「やめた方がいいケース」に絞って丁寧に解説します。手術を前向きに検討している方も、一度立ち止まってリスクや注意点を知ることで、より納得のいく判断ができるはずです。
なぜ、「ICL やめた方がいい」と調べる人が増えているのか?
最近、ICLに関心を持つ方が増える一方で、不安から「やめた方がいい」と検索する人も目立っています。背景には、手術のメリットだけでなくリスクを事前に知りたいという心理があります。

最近、「ICL(眼内コンタクトレンズ)やめた方がいい」とインターネットで検索する人が増えています。
この背景には、「本当に自分に合っているのか?」「失敗したらどうしよう…」という不安やリスクを事前に知っておきたいという気持ちがあります。
ICLはとても魅力的な手術ですが、誰にでもおすすめできるわけではありません。
そこでこの記事では、「ICLをやめた方がいい」とされるケースに限定して、わかりやすく丁寧にご紹介します。
ICLの基礎知識やメリットについて知りたい方は、別のページをご覧ください。
「ICLはやめた方がいい」と言われる主な理由
ICLは非常に有効な手術ですが、すべての人にとって理想的とは限りません。ここでは「やめた方がいい」とされる理由を整理して紹介します。

費用が高く、保険が使えない
ICLは保険適用外の自由診療で、費用は高額です。
レンズの種類や度数、手術費用、術後の検診費用まで含めると、1眼あたり40〜70万円以上かかることもあります。
費用に対して「そこまでの価値があるのか?」と不安を感じる方にとっては、大きなハードルになります。
合併症や副作用がある
手術自体は短時間で済みますが、ハロー・グレア(光がにじむ、まぶしく感じる)といった症状が、術後に出ることがあります。
多くの場合は時間とともに軽快しますが、夜間運転に支障が出るなど、生活に影響を感じる人もいます。
また、まれにですが感染症や眼圧上昇、ICLのサイズ不適合による再手術が必要になることもあります。
適応外の人もいる
ICLは「どんな人にもできる手術」ではありません。
手術を受けるには、以下のような条件が整っている必要があります。
- 眼の形が一定の条件を満たしていること(前房深度・角膜内皮細胞数など)
- 緑内障のリスクが低いこと
- 角膜の状態が良いこと
- 妊娠・授乳中でないこと(ホルモン変化で視力が安定しません)
将来の白内障手術との関係
ICLは水晶体の前にレンズを入れる手術です。
そのため、将来、白内障になって手術が必要になったときは、まずICLを抜く必要があるか、入れたまま白内障手術を行うことになります。
最近ではICLを入れたまま白内障手術をする方法もあり、成績は良好と報告されていますが、施設によって対応に差があることも事実です。
長期的な安全性にはまだ限界がある
近年のICLは「中央に穴があいた新しいタイプ(EVO)」が主流となり、安全性が向上しています。
しかし、10年以上の超長期成績については、まだ十分なデータが揃っているとはいえません。
また、Vault(レンズと水晶体の隙間)や角膜内皮細胞の減少など、経年変化にも注意が必要です。
補足:ICLの適応条件(概要)と、非適応・夜間の見え方が気になる場合の選択肢
ICLの主な適応条件(概要)
- 屈折が安定している(1〜2年で大きな変化がない)
- 角膜形状が安定で、円錐角膜などの異常がない
- 前房深度(角膜内皮から水晶体前面まで)や角膜内皮細胞密度が施設基準を満たす
- 眼圧・視神経が安定している(緑内障の所見がない)
- 妊娠・授乳中でない(この期間は原則不可)
- 定期検診に通える(Vaultや内皮細胞の経年フォローが前提)
※数値閾値や測定方法は機種・施設で異なります。必ず担当医の基準で評価します。
※EGEN Vision Clinicでは、屈折矯正術全般の原則適応年齢を35歳までとしています(老視の出現・長期安定性の観点からの方針)。
非適応/慎重適応、あるいは夜間のハロー・グレアが気になる方の選択肢
LASIK(Contoura®/トポガイド)
- 角膜表面の微細な歪み(高次収差)を狙って補正できる設計。
- 角膜厚に十分な余裕があり、形状が安定している方で検討。
- フラップ手術のため、ドライアイ素因や神経因性角膜痛の既往が強い場合は慎重。
- (当院方針)原則35歳までを対象。
SMILE pro
- 小切開で角膜神経への影響が少ない傾向。ドライアイが心配な方に相性が良いことがあります。
- ただし、強い不正乱視や高次収差が多い眼は適応外になりやすい点に注意。
- 角膜厚・RSB(残存実質)の十分な確保が必須。
- (当院方針)原則35歳までを対象。
あえて手術をしない/矯正手段を見直す
- 眼鏡・コンタクトの最適化、オルソケラトロジー、ドライアイ治療の先行など。
- とくに重度のドライアイや神経因性角膜痛の素因が疑われる場合は、手術を行わない選択が安全です。
選択の目安
- 夜間運転の頻度や仕事での光環境が厳しいなら、まずはその条件で見え方の質(ハロー・グレア、コントラスト)を優先。
- 角膜厚・RSB、高次収差、眼表面の状態を総合評価し、ICL/Contoura LASIK/SMILE pro/手術をしないのいずれがベストかを数値で説明してもらいましょう。
- 迷ったらセカンドオピニオンで、3術式それぞれのメリット・デメリットと術後フォロー体制を比較するのがコツです。
ICLをやめた方がいいかもしれない人の特徴
適応条件を満たしていない場合や、体質やライフスタイルによっては手術が不向きなことがあります。以下のような特徴に当てはまる方は注意が必要です。

ICLを受けたいと思っている方で、以下に当てはまる方は、慎重に検討しましょう。
| 特徴 | 理由 |
| 強いドライアイがある | 眼の表面状態が悪いと、どんな手術でも「見えにくい」と感じやすくなります。 |
| 緑内障や糖尿病などの持病がある | 手術そのものが危険なこともあります。主治医とよく相談しましょう。 |
| これから妊娠・出産を予定している | 妊娠中はホルモンの影響で視力が変化しやすいため、手術は避けた方が良い時期です。 |
| 費用がどうしても負担に感じる | 無理に受ける必要はありません。「やらない」という選択も大切です。 |
| 定期検診に通い続けるのが難しい | ICL後は年に1回など、Vaultや内皮細胞の状態を長く見ていく必要があります。 |
「やめなかった」ことで後悔したケースとは?
実際にICLを受けた方の中には、思い通りの結果が得られず後悔した声もあります。ここでは、その具体的な理由を紹介します。

ICLを受けて後悔した声を紹介します。
| 後悔した理由 | 詳細 |
| 視力が思ったほど出なかった | 特に強度近視では、すべてが1.5見えるようになるとは限りません。 |
| ハロー・グレアが消えなかった | 夜間の運転や仕事に支障を感じる方もいます。 |
| サイズが合わず、再手術が必要になった | ICLのサイズが合わないと、Vaultが高すぎたり低すぎたりして抜去や交換が必要になることがあります。 |
| 費用に見合わないと感じた | 期待が大きすぎると、結果に満足できないこともあります。 |
一方で「受けてよかった」と感じている人の傾向
すべての人が後悔しているわけではなく、手術に満足している方も多くいます。特にある条件を満たした方は、ポジティブな結果を得やすい傾向があります。

次のような方は、ICLを受けて満足されている傾向があります。
- レーシックができない強度近視だった方
- コンタクトが合わず、装用がつらかった方
- 将来にわたって安定した視力を望んでいた方
- 定期的に検診を受けることができる方
後悔しないために、今できること
ICLを検討中の方にとって大切なのは、情報を集めて冷静に判断することです。事前にできる工夫や準備について解説します。

ICLを検討するときに大切なのは、「なんとなく良さそうだから」と決めてしまわないことです。後悔を防ぐためには、以下のことに注意して進めることがおすすめです。
- 複数のクリニックで話を聞く(セカンドオピニオン)
- 適応検査をしっかり受け、自分の眼の状態を確認
- メリット・デメリットを紙に書き出して比べる
- 費用の総額とその後のケアまで含めて考える
最終判断のポイント
ICLが向いているかどうかは、費用・リスク・適応条件を総合的に考える必要があります。最後に、決断のための目安をまとめます。

「やめた方がいい」と言われる理由は、主に以下の3つに集約されます。
- 費用が高い
- リスクや副作用がある
- すべての人に適しているわけではない
ICLは決して「誰にでも向いている魔法の手術」ではありません。適応条件が合わなければ、やめるという判断が正解です。
でも、条件がそろっていて、信頼できるクリニックと出会えた方にとっては、「受けて本当に良かった」と思える手術でもあります。
よくある質問(Q&A)

A.いいえ、ICLを入れたままでも白内障手術はできます。安全に行うためには施設選びと準備が重要です。
A.多くの人は一時的に感じますが、ほとんどの場合、時間とともに慣れてきます。ただし、残る方もいるので事前に理解を。
A.現在のEVOシリーズは安全性が高いとされています。ただし、10年以上のデータはまだ少ないため、定期検診が必要です。
A.長い年月をかけて少しずつ減るというデータがあります。もともと内皮細胞が少ない方は慎重に検討を。
A.妊娠・授乳中はおすすめできません。視力が変動しやすく、安全性が確立されていないためです。
ICLは魅力的な視力矯正の選択肢ですが、すべての人に最適とは限りません。費用やリスク、そして自分自身の生活環境まで考えたうえで「やめる」判断をすることも、大切な選択肢のひとつです。迷ったときは複数のクリニックで意見を聞き、自分の眼の状態をきちんと確認してから決断しましょう。信頼できる医師と十分に話し合い、納得したうえで選択すれば、後悔のない結果につながります。





























