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【第2回/全4回】【連載:屈折矯正手術の現在地】 マーケティングから、解剖学へ。 日本の屈折矯正医療を「医学的な正解」へ書き換えるために。

レーシックの知識はガラケーのまま?15年前とは別次元に進化した最新の角膜手術。フェムトセカンドレーザー「FS200」と、わずか10秒で完了する「SMILE Pro」が実現した、物理的に安全な視力回復の真実。
【第2回/全4回】【連載:屈折矯正手術の現在地】 マーケティングから、解剖学へ。 日本の屈折矯正医療を「医学的な正解」へ書き換えるために。
【第2回/全4回】【連載:屈折矯正手術の現在地】 マーケティングから、解剖学へ。 日本の屈折矯正医療を「医学的な正解」へ書き換えるために。

現在、日本の視力回復手術の現場は、いささか歪な状況にあります。 「ICLは戻せるから安全」「角膜手術は古い」といった、医学的根拠よりもマーケティング(広告戦略)が先行した情報が溢れ、患者様が「自分の眼の形」に合わない手術を選んでしまうケースが後を絶ちません。

しかし、世界のスタンダードは異なります。 物理的に進化した最新の角膜手術(SMILE Pro等)と、眼球全体を実測する光学解析(Sightmap)、そして適応を見極めるための厳格なスクリーニング。これらを組み合わせることで、もはや「安全」は当たり前、「見え方の質」を追求する時代に入っています。

本連載は、南大阪アイクリニック理事長・渡邊敬三と、2026年春に大阪・梅田に開院する「EGEN VISION CLINIC」院長・梅本弓夏が、ネットの噂や古い常識を、最新のエビデンスと物理学の事実で上書きし、あなたが一生クリアな視界で過ごすための「屈折矯正の現在地」を提示します。


あなたのレーシック知識は「ガラケー」のままかも? 〜15年前とは物理的に別次元に進化した「SMILE Pro」と最新レーザーの真実〜

「レーシック難民」「ドライアイ」「感染症」…。 もしあなたが、角膜手術と聞いて10〜15年ほど前のニュース映像や、ネット上の古い噂を思い出して不安になっているなら、それは「ガラケー(フィーチャーフォン)」を見て「インターネットは遅くて画像も荒いから使えない」と言っているのと同じです。

この15年間で、スマートフォンの性能が劇的に向上したように、屈折矯正手術の世界でも「物理的な革命」が起きています。

かつての手術と、現在我々が行っている手術は、名前こそ同じ「視力回復手術」でも、使われているテクノロジーは物理学的に全くの別物です。 今回は、精神論ではなく「物理学(Physics)」と「スペック(Specs)」の観点から、現代の角膜手術がなぜ安全と言えるのか、その根拠を徹底解説します。

1:鉄の刃物から、光のメスへ。「マイクロケラトーム」の終焉

かつてレーシックでトラブルが多かった最大の原因。それは、角膜のフタ(フラップ)を作るために「マイクロケラトーム」という機械を使っていたことにあります。 これは平たく言えば、「電動のカンナ(金属の刃物)」です。眼球の上を金属の刃が走るわけですから、物理的に切り口が荒くなったり、感染症のリスクがあったり、最悪の場合は「フラップに穴が開く(Button hole)」といった物理的な事故が、構造上ゼロにはできませんでした。

しかし、現在は「フェムトセカンドレーザー」の時代です。すべてを「光」で制御します。 1000兆分の1秒という超短パルスレーザーを連続照射し、角膜内部に微細な気泡の層を作ることで、組織を乖離させます。ここに、決定的な「進化」があります。

【Meniscus vs Planar:フラップ形状の革命】

  • 昔(刃物): 刃物で切ると、どうしても中央が薄く、周辺が厚くなる「メニスカス形状(レンズ状)」になりがちでした。不均一な厚みは、術後の「高次収差(見え方の歪み)」、特に「球面収差」を増大させる原因となっていました。
  • 今(FS200): 当院でも採用している最新鋭機「FS200(Alcon社)」などは、均一な厚みの「プレーナー形状(Planar Flap)」を作成できます。 まるで精密機械でスライスしたかのように均一なフラップは、術後の見え方の質を落とさず、強度も保たれます。「刃物で切る」時代は終わり、「光でデザインする」時代になったのです。

2:同じ「レーザー」でも別物。FS200が選ばれる理由

「うちはレーザーを使っているから安心です」というクリニックにも注意が必要です。実は、フェムトセカンドレーザーの中にも「世代間格差」が存在します。

かつて一世を風靡した「IntraLase(iLASIK)」などの旧世代機と、最新の「FS200」では、「OBL(Opaque Bubble Layer)」の制御能力に決定的な差があります。

【OBL(不透明気泡層)の問題】
レーザー照射時に発生するガス(気泡)が角膜内に溜まってしまう現象をOBLと呼びます。これが発生すると、白く濁ってしまい、その後のエキシマレーザー照射時に「アイトラッカー(眼球追尾装置)」が眼を認識できなくなるというリスクがありました。 つまり、フラップは作れても、その後の矯正照射の精度が落ちるリスクがあったのです。

【FS200による解決】
最新のFS200は、このガスを逃すための「ベント(通気口)」を自動作成する機能を持ち、さらに照射速度が圧倒的に速いため、OBLの発生を最小限に抑えます。 「ただ切れる」だけでなく、「その後の矯正工程を邪魔しない」。ここまで考え抜かれた機種を使っているかどうかが、0.01D単位の精度を分けます。

3:安全のマージンを変えた「標準偏差」の縮小

少し専門的な話をします。医療の安全性を語る上で欠かせないのが「標準偏差(ばらつき)」です。

昔の機械は、例えば「110ミクロンの厚さでフラップを作る」と設定しても、実際には±20〜30ミクロンほどの誤差が出ることがありました。 もし誤差で深く切りすぎてしまえば、角膜の土台(残存角膜ベッド)が薄くなり、「角膜拡張症(エクタジア)」という強度が弱くなる合併症のリスクが生じます。

しかし、現代の最新レーザーにおける切開精度の誤差は、わずか数ミクロンレベルにまで縮小しています。 これは、「計算通りの厚みを、計算通りに残せる」ことを意味します。 現代の角膜手術において、過去に恐れられていたような強度のトラブルが激減しているのは、医師の腕が上がったからだけではなく、この「ハードウェアによる物理的な制御」が完成されたからに他なりません。

4:衝撃の10秒照射。「SMILE Pro」という到達点

そして今、角膜手術の進化の最前線にあるのが、「SMILE(スマイル)」です。 従来のレーシックが角膜を約20mm切開してフタを作るのに対し、SMILEはわずか2〜4mmの小さな切開創から、レンズ状の角膜片を抜き取る「キーホール手術」です。表面の傷が極小であるため、ドライアイや衝撃への強さは圧倒的です。

さらに、当院が導入している最新機種「Visumax 800」を用いた「SMILE Pro」は、その安全性をさらに次元の違うものにしました。

1. 照射スピードの物理的意味
旧機種(Visumax 500)では25秒〜30秒ほどかかっていたレーザー照射が、SMILE Proではわずか「10秒以内」で完了します。 たかが数秒と思うかもしれません。しかし、この短縮には医学的に極めて重要な意味があります。 手術中、患者様はずっと一点を見つめていなければなりませんが、人間はどうしても無意識に眼を動かしてしまいます。時間が長ければ長いほど、機械の固定が外れる「サクションロス(Suction Loss)」のリスクが高まります。 「10秒」という時間は、患者様が恐怖を感じたり、反射的に眼を動かしたりする前に手術が終わる時間です。物理的なスピードアップが、ヒューマンエラーのリスクを封じ込める。 これが最新スペックの持つ本当の価値です。

2. 低エネルギー照射による「滑らかさ」
また、Visumax 800はレーザーの周波数を2MHz(メガヘルツ)に高めることで、一発一発のエネルギーを低く抑えつつ、高密度に照射することが可能です。 これにより、角膜の切断面(Lenticule side cut)が圧倒的に滑らかになります。断面が滑らかであればあるほど、術後の炎症は少なく、「視力の回復スピード(Visual Recovery)」が格段に早くなります。「翌日からくっきり見える」のは、この滑らかさのおかげなのです。

■ 結論:「安全」とは精神論ではなく「スペック」である

「昔のイメージが怖いから」といって、現代の最新医療を避けるのはあまりに勿体ないことです。 15年前のレーシックと、現代のFS200やSMILE Proによる手術は、名前こそ似ていても、物理的には「公衆電話とスマートフォン」ほど機能も安全性も異なります。 あなたが検討すべきは、「ネットの古い口コミ」ではありません。「そのクリニックが導入している機種のスペック」です。


〜眼科専門医の視点〜

医療機器の進化は日進月歩です。最新のテクノロジーへの投資は、そのまま患者様の「安全マージン」に直結します。

EGEN VISION CLINICでは、SMILE Pro(Visumax 800)やEX500/FS200をはじめとする、世界最高峰のフラッグシップ機のみを導入しています。 「10年前の常識」ではなく「現在の物理学の到達点」に基づき、侵襲を極限まで抑えた、安全で確実な手術環境を提供することをお約束します。


よくある質問(FAQ)

Q. SMILE Proの手術時間はどれくらいですか?
A. 最新のVisumax 800レーザーを使用するため、レーザー照射時間は片眼わずか10秒以内です。手術全体も短時間で終わり、眼を固定されている時間が短いため、患者様の恐怖心や負担が劇的に軽減されています。

Q. 昔のレーシックと今のSMILEは何が違いますか?
A. 昔は「刃物(マイクロケラトーム)」で角膜を大きく切っていましたが、SMILEは「レーザー」だけでわずか数ミリの小さな穴から手術を行います。フラップを作らないため、衝撃に強く、ドライアイも少ないのが特徴です。

Q. 手術中に動いてしまったらどうなりますか?
A. 最新のレーザーには高性能なアイトラッカー(眼球追尾装置)や、吸引固定システムが搭載されています。特にSMILE Proは照射が10秒と極めて速いため、動いてしまうリスク自体を物理的に封じ込めています。

INDEX

レーシックの知識はガラケーのまま?15年前とは別次元に進化した最新の角膜手術。フェムトセカンドレーザー「FS200」と、わずか10秒で完了する「SMILE Pro」が実現した、物理的に安全な視力回復の真実。

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