レーシック手術から10年後、視力は下がる?

レーシック・SMILE・ICL手術を受けても10年後には視力が落ちるって本当?加齢による変化やVAULTの影響、再手術やICL再挿入などの対処法を詳しく解説します。
レーシック手術から10年後、視力は下がる?
レーシック手術から10年後、視力は下がる?

~「近視の戻り」と「老化」の違い、正しい対処法~

「手術を受けて10年経ったら、また目が悪くなってきた気がする」 そんな不安を感じている方は少なくありません。 実は、視力が変化する原因は「手術の効果が切れた」だけではなく、加齢による眼の変化や、別の病気が隠れている場合もあります。

この記事では、術式(レーシック・SMILE・ICL)ごとの視力低下の原因と、コンタクトレンズの可否、再手術などの対処法について、眼科専門医が解説します。

手術から10年後に視力が下がる「3つの原因」

手術後しばらくは良好な視力を維持していても、「また見えにくくなった」と感じることがあります。その原因としては、大きく分けて3つあります。

① 近視の戻り(リグレッション)

手術で矯正したはずの近視が、再び少し進行してしまう現象です。

  • レーシック・SMILE: 角膜が元の形に戻ろうとする治癒反応や、眼軸(眼の長さ)が伸びることで起こります。特に強度近視だった方は戻りやすい傾向があります。
  • ICL: レンズの度数は変わりませんが、眼軸が伸びることで近視が進むことがあります。

② 老眼(老視)の始まり

40代以降に「近くが見えにくい」「夕方になると疲れる」と感じる場合、それは近視の戻りではなく「老眼」の可能性が高いです。 手術で遠くがよく見えるようになっている分、ピント調節力の衰え(老化)をダイレクトに感じてしまいます。

③ 白内障の初期症状(近視化)

50代以降の方に多いケースです。 加齢で水晶体(眼の中のレンズ)が硬くなり濁り始めると、光の屈折が変わり、「一時的に近視が進んだ(手元が見えやすくなった)」ように感じることがあります。これは白内障のサインです。ICL手術を受けられた方はこの時期には注意が必要です。後述しますVAULTに変化があると白内障のさらなる進行や緑内障の原因になりますので、眼科での診察をお勧めします。

手術後にコンタクトレンズは使えるの?

「手術したらコンタクトはもう使えない」と聞いたことがあるかもしれませんが、多くの方が使用できます。

「視力が落ちたから、時々コンタクトを使いたい」という場合、手術の種類によって難易度が変わります。

レーシック・SMILE後の場合

「使えますが、レンズ選びが難しい」のが現実です。 手術で角膜の中央を平らに削っているため、一般的なカーブ(BC 8.6mm前後)のソフトレンズだと「眼に張り付く」か「ズレやすい」という不具合が起きやすくなります。

ICL後の場合

「問題なく使えます」。 角膜を削っていないため、手術前と同じように市販のコンタクトレンズを使用できます。

視力回復トレーニングで戻せる?

「視力回復トレーニング」と呼ばれるものがありますが、医学的に視力(屈折)を恒久的に改善できる根拠はありません。
一時的にピントを合わせる力(調節力)を高める効果はあるかもしれません。
しかし、視力そのものを根本的に回復させることは難しいとされています。

現実的には、メガネ・コンタクト・再手術といった方法での対応が基本となります。

視力が下がったら再手術はできるの?リスクは?

メガネやコンタクトが煩わしい場合、医学的に可能な「再矯正」の手段があります。

① レーザーによる追加矯正(タッチアップ)

  • 対象: レーシック、SMILE、ICLを受けた方
  • 方法: 角膜の厚みが十分に残っていれば、レーザーで微調整を行います。レーシック後はフラップを開け直すか、表面を削るPRKを行います。SMILE後やICL後の方は、PRKを行うのが一般的です。

② ICLの追加挿入(Add-on ICL)

  • 対象: レーシック・SMILE後に近視が戻った方
  • 方法: 角膜をこれ以上削れない場合、「レーシックをした眼に、さらにICLを入れる」という方法があります。角膜を温存できるため、強度近視の戻りに対して有効で安全な選択肢です。

③ レンズの入れ替え

  • 対象: ICLを受けた方
  • 方法: 度数のズレが大きい場合、レンズそのものを適正な度数のものに入れ替えることが可能です。

※ 視力低下の原因によっては外科的治療は行わない方がよい場合がありますので、適応は慎重に判断する必要があります。

術後によくある症状とその対処法

  • 片目だけぼやける:視力ズレ、乾燥、角膜のゆがみが原因のことがあります。再検査で状態を確認し、メガネや点眼で改善する場合もあります。
  • 夜間の光がまぶしい(ハロー・グレア):光のにじみや散乱が気になることがあります。夜間用メガネや瞳孔の動きをコントロールする点眼で対処することも可能です。
  • 生活での注意点:長時間パソコンやスマホを見るときは、20分おきに20秒間、20フィート(約6m)先を見て休む(20-20-20ルール)など、目を休める工夫が効果的です。

ICLの「VAULT」ってなに?どんなことに気をつければいいの?

VAULT(ボルト)とは、ICL(眼内コンタクトレンズ)と水晶体(天然レンズ)の間の距離を指します。

ICLを受けた方が、10年後以降に最も気にすべきなのが「VAULT(ボールト)」です。

VAULTとは?なぜ減るの?

VAULTとは、眼内レンズと水晶体の間の「すき間」のことです。 人間の水晶体は、加齢とともに年々少しずつ厚みを増していきます。そのため、手術直後は十分なすき間があっても、10年、20年と経つうちに、VAULTは徐々に狭くなっていきます。

狭くなりすぎるとどうなる?

すき間がなくなり、レンズが水晶体に触れてしまうと、白内障(水晶体の濁り)や緑内障を引き起こす原因になります。 視力が良くても、VAULTが安全圏を保てているかを確認することが非常に重要です。

定期検診がとても大切です

VAULTの変化は自覚しにくいため、年に1回以上のAS-OCT(眼内の断層検査)でモニタリングを行いましょう。
目の状態にあったICLを適切に保つことが、長期的な安全と良好な視力につながります。

よくある質問

よくある質問(Q&A)

Q1. 視力が下がったら、市販のコンタクトを買ってもいい?

特にレーシック・SMILE後の方は、自己判断で購入せず、必ず眼科で「カーブが合っているか」を確認してください。合わないレンズは角膜トラブルの原因になります。

Q2. 再手術のリスクはありますか?

あります。角膜を再度削るため、一時的にドライアイが悪化したり、稀ですがヘイズ(角膜の濁り)が出ることがあります。メリットとリスクを医師とよく相談してください。

Q3. 結局、10年後はどうすればいいの?

  • 軽度の戻り: 運転時や映画鑑賞時だけ薄いメガネを使うのが最も手軽で安全です。
  • 強度の戻り: 常時メガネが必要なレベルなら、追加ICLや再レーザー手術を検討します。
  • 白内障がある場合: 視力矯正ではなく「白内障手術」を行うことで、視力を根本的に回復させます。

まとめ 〜10年後の視力低下は「メンテナンス」で解決できる

私たちの体は変化するため、10年後に視力が変わることは不自然ではありません。 大切なのは、「近視の戻り」なのか「老化・病気」なのかを見極めることです。

特にICLの方は、VAULTの経年変化(加齢による水晶体肥厚)に注意し、定期的にチェックすることが重要です。

焦らず・放置せず・定期的にチェックすることが、快適な視力を維持するための第一歩です。

レーシックやSMILE、ICLの手術後は、年齢や目の状態の変化によって視力が少しずつ変わることがあります。多くの場合、メガネやコンタクトレンズ、再矯正などで十分に対応できます。「見えにくくなった」と諦めず、一度検診にお越しください。現在の眼の状態に合わせた、最適な解決策をご提案します。

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レーシック・SMILE・ICL手術を受けても10年後には視力が落ちるって本当?加齢による変化やVAULTの影響、再手術やICL再挿入などの対処法を詳しく解説します。

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