手術後、「いつから運動しても大丈夫ですか?」というご質問をよくいただきます。とくにスポーツを日常的にされている方にとっては、術後の運動制限が気になるところだと思います。
ここでは、レーシック・SMILE・ICLそれぞれの術後における運動再開のタイミングや注意点について、患者さんの目線でわかりやすく解説していきます。
レーシック術後の運動〜フラップがずれないために

レーシック手術では、角膜の表面にある「フラップ」という薄いふたを一度めくって、角膜内部にレーザーを照射します。術後、このフラップは元の位置に戻されますが、完全にくっつくまでには時間がかかります。
なぜ運動を控える必要があるの?
フラップは、術後すぐはとても繊細です。
汗が目に入ったり、顔をこすったり、ボールがぶつかったりすると、フラップがずれてしまうリスクがあります。まれに、手術から数年たってからの衝撃でフラップがずれたという報告もあるほどです。
どのくらい控えればいいの?
| 種類 | 再開目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| 軽い運動(ウォーキングなど) | 1週間後 | 汗やほこりが目に入らないよう注意 |
| 筋トレ(軽め) | 2週間後 | 激しいいきみは避ける |
| 激しい運動・球技 | 4週間後 | 接触や転倒に注意。保護ゴーグル着用が望ましい |
| 水泳・温泉・海 | 2週間以降 | 細菌感染のリスクがあるため完全に禁止 |
SMILE術後の運動〜フラップがないからこそ安心しやすい

SMILE手術は、レーシックと違ってフラップを作らず、角膜を小さく切開するだけの手術です。そのため、構造的にフラップずれの心配がなく、外からの衝撃に対しても比較的強いといわれています。
とはいえ、術後は角膜の傷がまだ完全にはふさがっていないため、水や汚れ、強い衝撃には注意が必要です。
SMILE術後の運動再開目安
| 種類 | 再開目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| 軽い運動 | 1週間後 | 汗や風に注意しつつ |
| 筋トレ(軽め) | 1週間後 | 目をこすらないように |
| 球技・格闘技など | 4週間後 | 接触時は保護メガネ着用が安心 |
| 水泳・温泉・海 | 2週間後以降 | 感染予防のため必ず守る |
ICL術後の運動〜レンズの位置ずれや回転に注意

ICLは、角膜ではなく眼の中にレンズを入れる手術です。手術直後は、レンズの位置が完全に安定していないため、激しい動きや強い衝撃が加わると、レンズがずれたり回転したりする可能性があります。
とくに乱視矯正を兼ねた「トーリックICL」は、レンズがわずかに回転するだけで矯正効果が下がることがあるため、慎重に経過を見る必要があります。
ICL術後の運動再開目安
| 種類 | 再開目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| 軽い運動 | 少なくとも1週間後 | 違和感があれば中止を |
| 筋トレ | 少なくとも2週間後 | 激しいいきみは避ける |
| 球技・格闘技など | 4週間後 | できれば防護具・保護メガネの着用を |
| 水泳・温泉・海 | 2~4週間後以降 | 施設ごとに異なるため医師に確認を |
運動中に気をつけたいこと

目を守るアイテムを使おう
- 汗が目に入らないようヘッドバンドや帽子を活用
- ポリカーボネート製のスポーツ用保護メガネが最も安全
こんなときはすぐに眼科へ
- 急に見えにくくなった
- ものが二重に見える
- 目がしみる・痛い
- 視界がかすむ
これらは、フラップがずれた・レンズが回転した・眼の中に炎症が起きたといったサインかもしれません。自己判断せず、すぐに診察を受けましょう。
よくある質問

多くの方は翌日の検診で許可が出れば可能です。ただし、夜間のライトがまぶしく見えることがあるため、無理はせずに。
短時間なら問題ありません。ただし、長く使うと目が乾きやすくなるため、「20分ごとに20秒、遠くを見る」など、適度な休憩を心がけてください。
紫外線は角膜にとって刺激となります。外出時はUVカットサングラスを着用し、室内でも加湿器や人工涙 液などで目を守りましょう。
最後に〜安心して運動を再開するために

術後の運動再開のタイミングは、手術の種類によって違います。
無理をせず、段階的に体を動かしていくことが、眼の安全と快適な視力を守るポイントです。





























